○舞鶴でホームズのシンポジウム開く

 舞鶴市とポーツマス市の姉妹都市10周年の記念行事の一環として、11月8日(土)13時30分〜16時に、舞鶴市商工観光センターで、シンポジウム「ホームズは生きている」が開かれた。

 メンバーは、コーディネーターとして平賀三郎、パネラーとして外海弘美子(主婦、ホームズ愛好家)、見吉時枝(事件簿研究家)、真下庄作(スコットランドヤード研究家)、中尾真理(奈良大学准教授・英文学者)の5名が出席した。

 まず舞鶴市の浅井孝司副市長から、主催者を代表して挨拶があった。

 続いて平賀コーディネーターから、発表後120年を経た探偵小説の主人公ホームズが、今なお全世界で読まれ、そのキャラクターが広告にまで登場し、舞鶴市の公式行事にとりあげられるなど生き続けている秘密をさぐるのが本日のテーマであるとの基調発言があり、ホームズの愛好団体は作家の名前ではなく作中人物の名前をつけていること、ホームズは大当たりしたが、ドイルの他の作品はあまり評価されず、ねじれ現象が見られること、ホームズが繰り返し読まれる原因は「ホームズ学」と呼ばれる読み方やヴィクトリア朝英国に対する興味が考えられるなどと説明した。

 パネラーの発言としては、外海弘美子さんが、小学校1年の時に初めてホームズを読んで、その魅力にはまったこと、JSHCに入会し、関西支部に顔を出すことになったが、普通の人がすごい話をするのに興味を持ったことなどホームズやクラブの魅力について述べ、KOBE大会についても紹介した。

 次に見吉時枝さんが、クラブは遊び心と創造力が必要であるが、普通の人の集まり、《バスカ》の聖地巡礼で、「これぞバスカヴィル館」と思った建物が、事件後に建設されたという唯一の欠陥があったこと、一昨年《踊る人形》の事件現場を訪ね、キューピットの館を発見したことなど、ホームズ学の実践について話した。

 次に舞鶴市出身の眞下さんから、スコットランドヤードについて、何故その名があるか、ロンドンの警察史、その成立と組織、階級と仕事、警官の制服、犯罪捜査部の成立、などについてその年号などを含めて詳しく解説した。

 最後に、事件簿に唯一登場する奈良の正倉院近くに住む中尾真理さんから、ドイルの経歴やドイルの時代であるヴィクトリア朝は、ロマン派の時代から科学の時代に移り、長編小説の黄金時代を迎えていたこと、帝都ロンドンが世界の首都として繁栄したこと、文学史的位置付けなどについて解説し、英文学史でホームズを扱うことはないが、英国でこれほど愛されている物語はないと述べた。

 まとめとして平賀から、ホームズは子供向けの本ではなく、立派な大人の愛読書、ホームズ学の楽しみは無限であると述べ、小林、東山編の『名探偵読本』の冒頭の宣言も紹介して共にクラブに入会してホームズを楽しもうと呼びかけた。

 そして、ホームズを本格的に読み直す場合は、我が国初の全集で、文芸的香りの一番高い延原謙訳の新潮文庫、注釈が最もシャーロキアン的な東京図書、その後ちくま文庫のベアリング=グールド編の注釈付全集、オックスフォード大出版部の注釈が付いている小林・東山訳の河出書房新社の全集、発行が新しい日暮訳の光文社の全集の4つを紹介した。

 いずれも一長一短があるが、訳文を読み比べ、注釈を読み比べれば「貴方も立派なシャーロキアン」と結んだ。

 参加者は50名、遠く茨城県、群馬県、神奈川県、福井県からの会員の顔も見え、その模様は今日と新聞紙が報道し、地元ラジオも配信した。

○舞鶴ホームズ&ドイル博を各紙が報道

 10月18日にオープンした「ホームズ&ドイル博」の模様は、10月19日のサンケイ新聞に「名探偵の名場面再現、舞鶴で『ドイル博』開幕」と、写真2枚入り4段の記事を掲載したのを始め、読売新聞、京都新聞、毎日新聞、朝日新聞、舞鶴市民新聞、サンケイスポーツが大きく報道した。

○舞鶴の地元ラジオに会員3名が出演

 ホームズ&ドイル博に関連して、舞鶴のネット配信、地元ラジオ「Mチャンネル」に会員3名が声の出演をした。まず、真下庄作さんと見吉時枝さんが、11月7日から1週間、JSHC、スコットランドヤード、踊る人形などの聖地巡礼についてトークした。

 続いて11月13日から1週間平賀三郎さんが、ホームズ&ドイル博の展示物の解説を放送した。

○舞鶴でミステリーツアー

 ホームズ&ドイル博の期間中、2コースのミステリーツアーが行なわれた。

 1つは「幻の肉じゃがレシピ捜索ミステリー」。これは英国留学中の東郷平八郎がロンドンのパブでホームズと出会い、ホームズお気に入りのビーフシチューを再現した肉じゃがのレシピが紛失したという趣向。まいづる智恵蔵でツアーブックを入手し、東舞鶴地区を巡って謎を解く。もう1つは「幽斉の秘宝探求ミステリー」で、舞鶴に田辺城を築城した細川幽斉の秘宝のありかを同じくツアーブックに従って西舞鶴地区を巡って謎を解くもの。参加者は応募券を提出、11月30日の結果が発表された。

○ 舞鶴ふるる農園でも協賛行事

  サセックスダウンズに似た、日本海を見下ろす丘に開かれている舞鶴ふるるFARMでも、ホームズ&ドイル博の期間中協賛行事を行なっている。まずビュッフェスタイルの農村レストランにイギリス料理のコーナーを設け、スコーンやフィッシュ&チップスをメニューに加えた。また謎探しクイズを行ない、子豚のハナの小屋に「ベイカー街221b」の表札を掲げ「最近ふるるに事務所をかまえた迷探偵の“はな”さて!?その事務所の住所は?」とか、牧場の階段の数など4問を解くとプレゼントがもらえた。

○舞鶴市長から礼状が届く

 ホームズ&ドイル博が盛大に催されたことにより、斉藤 彰舞鶴市長から、JSHCの窓口となってこれに協力した関西支部代表平賀三郎に宛て、11月4日付で次の礼状が届けられた。

 「(前略)舞鶴市・ポーツマス市姉妹都市提携10周年記念事業『シャーロック・ホームズ&コナン・ドイル博』に際しましては、貴殿をはじめとする日本シャーロック・ホームズクラブ関係各位のご協力により、盛大なオープニングセレモニーをもって順調にスタートすることができました。初日、二日目を合わせて、5000人もの来場者を迎えるなど、市民の関心も大変高く、クラブの皆様方にご尽力いただいたことを深く感謝しているところであります。(後略)」

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