第192回奈良仏滅会報告

渡辺 利枝子

 10月29日土曜日は第192回仏滅会であった。

 『ホームズおもしろ事典』が発行されたため、大阪市中央区の歴史的建造物である綿業会館で10月8日に記念仏滅会が行われた。そのためにちょっと変則で月2回目である。

 はりきって午前中に正倉院外構を見に行くオプションを付けたのだが、突然正倉外構の改修が発表され、構内からは見られないことになってしまった。申し訳ないので例会終了後、正倉院展見学をした上で二次会へ行くと決め、十月1回目の会合でその旨も伝えた。

 というわけで、当日午前のオプショナルツアーである。大変よい天気だが、参加者はいるのかという懸念の中、平賀さんと翠川さんが来てくださる。聖武天皇陵→転害門→正倉院外構を塀の外から見る→東大寺ミュージアムとまわってお昼を食べた。道は風情もあり、陵からの眺めもよく、転害門は奈良時代の遺構である。人影よりも鹿の数の方が多いような静かな道筋で奈良観光の穴場だと思う。

 オープンしてすぐの東大寺ミュージアムは、有名なのにもかかわらず、以前三月堂に狭苦しく並んでいた不空羂索観音菩薩立像と日光・月光両菩薩や今まで見ることができなかった寺所蔵の宝物を洗練されたライティングやディスプレイ(平賀さん曰く「大英博物館より上」)のもとで拝観することができる。機会があれば是非一度ご訪問ください。

 さて、奈良らしいお店に入ってのお食事を終えて、奈良婦人会館で例会が始まる。まず林庄宏さんの「ホームズの手配書」。毎回ながら、詳細な正典抜き書き資料をくださる。インターネットから探し出したFBIの手配書をひな形にホームズとその他の人々の項目を挙げている。これだけでも第一級の資料となるかと思う。ちなみにホームズの容疑は「世界中の多くの人々を偏執世界に引きずり込み再起不能にした罪」だそうな。なかなかの「ザ・ゲーム」に取り組まれたものである。

 休憩のあと近況報告の時間があまり取れないが3週前に報告したばかりの人も多く、ちょうどよかったのだった。

 その後、野村恒彦さんの「英国と私」。野村さんは『神戸70s青春古書街図』という著書のある探偵小説や古書の世界では有名な読書家である。幼少時からの英国との関わりを語ってくださった。ホームズとの出会いは小学校学芸会での待ち時間に学級文庫の『幻の犬』という本に手を出してしまったこと、出番が来てもやめられなかったそうだ。ミステリ作家、ビートルズ、映画、十九世紀の科学者バベッジなどに話は進んだ。なつかしい英国製人形劇『サンダーバード』のファンクラブ会報誌はオールカラーの誠に充実したものだった。またイギリス古本屋訪問のお話に皆身を乗り出して聞き入った。なかなかのタレントとお見受けしたが、関西支部で初めてのご発表であった。

 その後、正倉院展へ移動した。義満や信長が切り取ったことで有名な香木「蘭奢待」が今年の目玉だったが、毎年行く山口さんの話ではいつもより空いているとのこと。しかし、ホームズにもゆかりのある聖武天皇の袈裟や太刀など見応えのあるものも多かった。

 そして、二次会へと例会は続いていくのであった。会場は、近鉄奈良駅から横丁を入った中華料理店、前年好評だったお店である。

 正倉院展には行かないで、大和の地酒フェアをのぞいて有意義な時間を過ごした上で二次会に合流された知恵者も居られた。

参加者:

渡辺利枝子  平賀 三郎  翠川こかげ

嶋美千子  林  庄宏  外海弘美子

福島  賛  久武 正則  眞下 庄作

西浦  寛  長谷川明子  野村 恒彦

山口 敬多

 

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