「第193回仏滅会・関西支部納会報告」

  小澤 聰

 2011年最後の仏滅会が12月4日に、梅田のパブ・シャーロック・ホームズで開催されました。この数年は毎年開催の挨拶に、本年は激動の年でなどと申しておりましたが、悲しいことに本年こそは極めつけの激動の1年となってしまいました。それでもこうして年末の例会まで滞りなく行事が進められたことはありがたいことです。

 関西支部では設立30周年を迎え、『ホームズまるわかり事典』が三冊目として出版されるなど、実り多い年でもありました。

 さて仏滅会は、例によって関西支部時間?の15分遅れで開始。最初は平賀氏により関西支部23年度事業報告・十大ニュースの発表があり、次いで例会の皆勤者やHP担当者、会員証作成者等への賞品記念品の贈呈がありました。詳細はWEJ406号をご参照ください。

 続いて、30周年記念旅行の報告が、スイス編を見吉さん、ロンドン編が西岡さんからありました。お二人ともWEJに詳しい旅行記を載せておられますが、書き切れなかった楽しいなまのエピソードが語られました。見吉さんのスイス編ではマイリンゲンは観光シーズンのはざまで、ホームズと名のつくホテルや店はやたらとあるものの,殆どが閉まっていたり、窓から覗いても名前のみの縁もゆかりもないパブもあった。やっとチーズ屋でシャーロック・フォンデュなる冷蔵物の商品をみつけたが、長旅で持ち歩くこともできず購入を諦めたとのこと。ドイツ語圏ではファンタオレンジとコカコーラを6:4でブレンドした不思議な飲み物が大人気であったので、今日は皆さんに作って賞味してもらおうと、来る途中で材料を仕入れようとコンビニによったら、なんとオレンジコーラの製品がちゃんと店にあったということで、見吉さんから実物の差し入れがありました。

 ロンドン編では子供の頃からの憧れのベーカー街に行けた西岡さん、地下鉄のベーカー街駅の壁のホームズタイルにまず感激、地上のホームズ象に感激、周りのホームズあやかり商店に感激。しかし、ホームズ博物館のデブのひげ親父の自称ワトソンに違和感を感じ、ホームズの蝋人形にはさらにいやな感じを受け、その後もロンドンのホームズゆかりの見る物のさわる物に、好奇心をぶちかましまくった楽しいおのぼりさん体験記でした。

 ティーブレイクの後は、関西支部客員の甲南大学英米文学科教授の中島俊郎先生の講演「シャーロック・ホームズとイギリス文化」です。今年はホームズ研究の大変な当たり年として、今年出版された三冊の本の書誌学的解説が述べられました。一冊目は「The Narrative of John Smith」でドイルの未発表習作でホームズものの原型であり、アームチェアディテクティブの最初期のものである。二冊目は「The House ofSilk」でドイル財団公認の聖典続編。早い話が公式贋作であるがオリジナルスタイルを厳守した作品で、翻訳出版が待ち遠しい。三冊目は中島先生一押しの、「TheAscent of the Ditective:Police Sleuths in Victorian and Edwardian」。オクスフォードより出版されたものでハイヤ・シュぺイヤ・メイコフというイスラエル出身の女性研究者の執筆である。刑事探偵の社会的・文学的地位向上過程を述べた本で、現実のディテクティブと小説のディテクティブが対比され、それと並行してホームズ像の形成から1914年までの叙述がある。本文300頁注150頁という大冊で、一刻も早い翻訳化が待たれるところですが、果たして実現する可能性はあるのか。講演はこの三冊を中心に様々な文学的項目がちりばめられ、オックスフォードで古書修行された先生の面目躍如とした非常に楽しい一時間でした。

 次は相宅さんが出題者となって、「ホームズなんでもクイズ」です。賞品は清水・南谷コレクションのホームズ関連書籍や、スイス・英国旅行のお土産等が各問題ごとの回答者にわたりました。全34問中7問正解した西岡さんが最多正答者として、参加者垂涎の的のトカイワインを獲得されました。

 近況報告と記念撮影の後、納会にうつり西田さんの進行のもとに愉快な立食パーティーとなりました。談笑の輪がそこここで広がり、ホームズ談義に花が咲き、納会の夜は更けていきました。

参加者:

  中島 俊郎  渡邉利枝子  平賀 三郎

  翠川こかげ  相宅 史子  増田 匡裕

  三宅 俊行  出嶋美千子  山崎 準勝

  西岡 知恵  見吉 時枝  大倫 敦子

  西田 千穂  小澤  聰  林  庄宏  

  外海弘美子  新野 英男  宮城 秀夫  

  森田由紀子  山口 敬多  久武 正則  

  眞下 庄作  西浦  寛  外海 靖規  

  長谷川明子  津田 雅之  浜崎千恵子  

  篠田 典子  谷田  巡  大島 洋子

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