第194回神戸仏滅会レポート

野村 恒彦

 2月19日(日)神戸の湊川新開地にある神戸アートヴィレッジセンター(略称KAVC)の会議室で仏滅会例会が行われた。今回は報告者にとって初の幹事役をつつめたものであるが、出席者のご協力で充実した例会を行う事が出来た。

 まず幹事の野村が、会場であるKAVCについての説明を行った。時間帯の都合で、開会は14時であった。

 湊川新開地は神戸市の中央を流れていた湊川を付け替えることによりできた土地を利用して作られたものである。今でこそ神戸の繁華街は三宮に移っているが、戦前では湊川新開地が最大の繁華街であった。神戸最大の娯楽施設である聚楽館(しゅうらくかん)や神戸タワーなどもあり、その名は大きく轟いていたものである。幹事が学生時代には、その名残も結構残っていて最盛期の湊川新開地を偲ばせたが、阪神・淡路大震災によって、周辺は一変することになってしまったのであった。

 探偵小説作家の横溝正史氏や映画評論家の淀川長治氏らもこの新開地近辺に生まれている。

 そして会は本題に移ることになり、福島賛さんによる発表「ホームズは犬嫌いだったか −物語を通してみる英国ペット事情」があった。発表者が作成された貴重な資料に基づいて、イギリスの今昔ペット事情、ホームズ作品におけるホームズやワトスンの反応例などが紹介された。

 《グロリア・スコット号》では、ホームズはブル・テリアに噛みつかれたにもかかわらず、感情的なものは何も書かれていないとの指摘があり、ホームズにとって犬というものは、実務的で役に立つ存在として接しているというむすびの言葉があった。

 ここでティーブレークがあり、参加者の緊張もほぐれてきたようであった。

 そして近況報告及び情報交換が行われ、東京から参加された飯島一次さん、(美しいホームズの絵葉書をいただいた)新しく加入された大島洋子さん、神戸の吉本研作さんなど多彩な顔ぶれが近況やホームズの情報を一言ずつ述べた。新作ホームズの映画は3月10日封切りとのこと、チラシも配布された。

 2時間目は大倫敦子さんによる「ホームズ時代の英国首相」の発表があった。配布されたホームズ関連の出来事と歴代首相が書かれた年表は非常に興味深いものであった。さらに当時の首相の人となりが紹介され、事件簿では首相の名前はあいまいなものが多いが、年代などから特定してみるとホームズが関わった事件が、首相が保守党等ソールスベリの時代に数多かったという指摘もなされたのである。

 二次会は元町に移動して、ドイツ料理のレストラン「G・C・C」で行った。ドイツ料理といえば、ワイン、ビール、ソーセージそしてジャガイモである。お酒を飲むうちに出席者の口は滑らかになり会話がはずむようになった。アルコールが進むと共に、一層にぎやかになり、最後には、お店の二階席はほとんど貸切状態になってしまい、会員のボルテージは上がりっぱなしであった。

 ここで中島俊郎先生、そして切り絵作家の成田一徹氏が参加されて、会はさらに盛り上がったのである。特に中島先生が昨年出版された『オックスフォード古書修行』のお祝いを京都で行う企画があるとかの話も出た。

 時間どおりに二次会も無事終了して散会することになったが、神戸の魅力の一端にふれていただけば、幹事としてはこれにまさるものはないのであった。

(参加者)

 飯島 一次  平賀 三郎  翠川こかげ

 樽井 絢子  出嶋美千子  西岡 知恵

 見吉 時枝  大倫 敦子  福島  賛

 山口 敬多  久武 正則  眞下 庄作

 長谷川明子  吉本 研作  野村 恒彦

 大島 洋子  中島 俊郎  成田 一徹

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