第197回仏滅会報告

パブSH開業35周年記念仏滅会報告

眞下 庄作

記念額

パブ記念写真

 いつもは偶数月に開催される仏滅会が、梅雨の合間の7月7日(土)仏滅・七夕の日に大阪梅田パブ・シャーロック・ホームズで開催された。

 13時から恒例の機関紙WEJの発送作業が終わると幹事の私から自己紹介、日程説明に続き、次のとおり本日の趣旨説明を行なった。

 支部が大変お世話になっている大阪梅田パブ・シャーロック・ホームズ開業35周年のお祝いをし、記念品を贈呈しようということで、7月7日の仏滅・七夕の日が選ばれたこと。パブの経営者でJSHC関西支部の生みの親の一人であり、ダーツ連盟大阪支部創始者である故津田昌信さんが、府立高校の電気・電子専門の先生を退職して、多くの人達にヴィクトリア朝の雰囲気を味わえる場として開業された。その努力の姿が全体の調達品や入口の窓ガラスや店内の壁や天井の飾付け等、例えばコナン=ドイル自筆の115年前の手紙、貴重なホームズ本、1978年7月JSHCの初の大会写真、1987年のトロント・ダーツ世界大会におけるご本人の貴重なイラスト、ギネスからのベストワン・ショップ表彰状等を説明した。

 次にお祝いの言葉として、田村耕三さんから当初の思い出話があった。支部初会合が弥生会館で開かれ、自己紹介や清水武彦さんの京都大会の続編である素晴らしい聖書の発表、活動方針などの意見交換の後、20数名が1977年5月に開業の津田さんのこの英国パブをめがけてなだれ込んだという。

 なんとその参加者の中には、後に結婚することになったが親に内緒で参加していた学生さんもいたとか、一方会合に参加せずパブには既に2名の人が待っておられ、一緒にホームズの読書論から漫画までワイワイとワイン、ビール、お茶を片手に口角泡とばして語られたとのこと。その後仏滅会では二次会参加者も出席者と認めることになったとの裏話も語られた。また若い時に良く立ち寄り、昼食や立派な茶器でのお茶で津田さんにお世話になったエピソード等を披露された。

 関西支部からの記念品贈呈に移り最初の除幕が、出嶋美千子さんより行なわれると、立派な大きな木彫りの記念額が現れハッとする。この額は出嶋さんのご親戚で岡山県でアトリエ・カシュカシュを運営する木工芸家垣上滋延さんの作品、《青いガーネット》に登場のモーカ伯爵夫人の「宝石箱と伯爵夫人」のイメージで制作されたとのこと。

 もうひとつの除幕を訪英メンバ−の西岡知恵さんが行ない、ロンドン・ホームズ協会ガイ会長からのメッセージ額が現れ、後刻見吉時枝さんが翻訳した。要約するとパブ開業35周年のお祝いとホームズやワトスンを親善大使として益々の発展と活躍を期待するとのメッセージであった。

 お礼の言葉が津田愛子さん、雅之さんからあり、開業された経緯で皆さんにヴィクトリア朝の雰囲気を味わってもらう為にホームズの部屋とダーツの部屋を造られたこと、日頃のお礼と今後50・100周年に向けて皆さんと共に歩んでいきたいと頼もしい

 心強いお礼の挨拶に続き、パブ35周年記念のオリジナルピンバッチを準備中との有難いご報告をいただくと会場から大きな拍手と共に全員の眼の輝きが変わったようだった。

 次に参加者による記念写真撮影が行われ、中央に愛子さんがメッセージ額を、後方に雅之さんが記念額を持っての撮影となった。

 休憩をはさんでティータイムとなり、続いて近況報告や情報交換などが行なわれた。

 次は記念研究発表として何回も聖地巡礼され多くの著作と講演も豊富な平賀代表の「スイス・ホームズ聖地巡礼の旅‐2」へと移った。資料として巡礼地の地図、ダボスのホテルなどの文献が配布された。

 はじめに「ホームズ学には細かいことを個々に分析する研究が多いが、今日はパブのお祝いとしてスイスでの見聞、各種の文献などを総合して、追分フォーラムでのその1に磨きをかけてお話したい。いわばホームズとスイスの総説である」との説明があった。

 次に、ロンドン・ホームズ協会では、立派な紳士淑女がヴィクトリア朝の服装で定期的に聖地巡礼をして当時の場面を再現して愉しんでいる。スイス・ライヘンバッハ滝でのモリアーテイとホームズが決闘した《最後の事件》のシーンを何回も再現している。そのユーモアとウィットはなかなか真似ができないとも話した。  

 今回の目的は《最後の事件》の旅程の検証、エイドリアン・コナン=ドイルの城やアーサー・コナン=ドイルが肺結核の夫人トーイと共に過ごしたダボスのホテル等を検証する巡礼の旅−2であり、写真を回覧し次のように発表された。

1  バーゼルからジュネーブへ行ったが、何故遠回りをしたか? 2  ローザンヌは《フランシス・カーファックス嬢の失踪》で登場しオリンピック委員会本部がある 

3  リュソンはエイドリアン・コナン=ドイルの城と父のコレクションのを展示する記念館がある。ここの特長は、ロンドンの博物館とは違ってコナン=ドイルが所持した品が観られること 

4 モントレー郊外のコーはトーイの療養地で、またマイリン

ゲンへ向う観光列車がある 

5 ローヌ渓谷で時間を過ごしたのは何故か? サン・モーリス、マルティーニ、シオン、シエール、ロイクなどいずれもスイスワインの名産地である 

6 ロイカーバードは標高1400mで極端に高くなり麓のロイクと1000mの落差がある山中の温泉地 

7 ゲンミ峠は標高2300mの険しい峠でダウベン湖は雪深く春も氷結している。このあたりのワトソンの描写は正確ではなく、本当にゲンミ峠を越えたのか疑問がだされている等、新しい解釈から従来からの疑問の度に実写真を回覧されていた。 

8 インターラーケンで汽車を乗り継いでマイリンゲンに着いた 

9       マイリンゲンの大火後にホームズ達が訪問、今も英国館はある

10 ライヘンバッハの滝ではトレイシーの事典の記載に疑問があるし、ローゼンラウイについて、トレイシーやバンソンの事典に「温泉」とあるのは何故か?

11 ルッツェルンは《三破風館》と《最後の事件》で話の中でのみ登場、瀕死のライオン像がある。シュブリューゲン峠は《高名の依頼人》でグルナー男爵に夫人が殺された

12 ダボスとマラジャではコナン=ドイルと妻が結核療養で滞在した場所で、滞在したホテルを調査検討した新事実が報告された。

 写真を眺めるだけでも楽しいなか予定時間が迫り、いずれ近いうちに新論文を期待して記念研究発表を終える。

 最後に懇親夕食会となり、外海弘美子さんの司会進行で、次回幹事の西浦さんの乾杯でパブの特別サービスのローストビーフなどの英国風の料理、ギネス・ワインと進みダーツの練習を横目に酔いも廻り、梅雨空をふっ飛ばす勢いでホームズ談義に話がはずんだ。

出席者氏名(敬称略)

津田 愛子  津田 雅之  田村 智子

田村 耕三  平賀 三郎  翠川こかげ

相宅 史子  出嶋美千子  西岡 知恵

見吉 時枝  大倫 敦子  外海弘美子

新野 英男  小野 功雄  山口 敬多

久武 正則  眞下 庄作  西浦  寛

篠田 典子  藤原幸栄子

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