「第200回仏滅会&関西支部納会」レポート

小澤 聰

 12月9日(日)に本年最後の仏滅会が開催されました。今回はエッセイ集『ホームズの不思議な世界』の出版記念会もかねています。年末には毎年パブ・シャーロック・ホームズを借り切って開催しますが、パブも開店35周年を迎えました。残念ながら9月に二代目オーナーの津田雅之氏が急逝されましたが、店はご夫人により営業が続けられており、京阪神のシャーロッキアンの憩いの場として繁栄されることを祈念いたします。平賀代表の2012年の事業報告のあと、故人に黙祷し、続いて渡辺さんの仏滅会200回お祝いの言葉、英国ホームズ協会のマリオット会長ほか、内外の方々からのお祝いのメッセージが披露されました。

 次に西浦寛さんの記念発表「ホームズをめぐるレディたちの世界史」です。《ぶな屋敷》の家庭教師バイオレット・ハンターを中心として、ビクトリア朝の女子教育事情の考察がなされました。最初に女学校の種類、次いで授業料、教科内容、教員の給与と家庭教師の俸給との対比など、当時の詳細なデータが説明されました。面白いのは、ハンター嬢が若年にも関わらず校長になったとあるが、当時は「女子校の校長求む」という教育雑誌の広告に、35歳以上は不可という年齢制限があった例もあり、あながちワトソンの間違いではないとの話でした。また、メアリー・モースタンはかなり古いタイプの女子教育を受けており、『小公女』のセーラ・クルーと登場人物や状況設定がよく似ており、ドイルが大いに参考にしたのでは?という興味深い指摘がありました。

 ティーブレイクには、久比さん提供の「ホームズ煎餅」の差し入れがあり、あまりの美しさに食べるのが惜しいくらいでした。

 休憩ののち奈良大学教授の中尾真理さんの記念発表「ドイルとR.L.スティーヴンソン」です。ドイルとスティーブンソンは面識はないが、1893年より文通が始まっていたようです。最初のスティーブンソンからの書簡では、「『冒険』を面白く読んだ、歯が痛いときに読みたくなるような本だ」と評している。また、「これ、僕たちの知っているジョー・ベルじゃないか? 」といっている。ホームズのモデルをジョゼフ・ベルだとスティーブンソンが見抜いていたとするとスティーブンソンのアブダクションは端倪すべからざるものがあります。ドイルとスティーブンソンはともにエディンバラ大学の卒業で、共通点が結構あるようです。文通当時、スティーブンソンは南洋のサモア島に移住しており、ドイルは逢いに行く予定があったが、実現しなかったようです。書簡を通じて楽しい発見が紹介されました。また『宝島』と《四つの署名》を対比して、特にジョン・シルバーとジョナサン・スモールの共通点や、宝さがしに人生をかけるテーマ、等々。西浦氏の発表同様、ドイルは宝島も大いに参考にしたようです。スティーブンソンはサモアで客死するのですが、自作の美しい鎮魂歌を朗読して、発表は終わりました。

 次に平賀氏の「ホームズの不思議な世界」の出版についてのお話があり、そののち12月恒例の「ホームズおもしろクイズ」と進みました。森田さんが出題係、大島さんの記録係で21問出題され、福島さんが最多正解者となりました。

 表彰式に移り、クイズ優勝者、過去1年間の仏滅会幹事・発表者・皆勤賞、ホームページ執事、・会員証の作成者に仏滅化200回の記念品のカレンダーが渡されました。

 パブ前の通路で記念撮影ののち、納会兼「ホームズの不思議な世界」出版祝賀会に移ります。山田誠氏の出版お祝いの言葉、中尾さんの著者のひとことの後、森川さんの乾杯のご発声で待望の宴会になだれ込みました。

 楽しい2時間ののち、幹事の音頭による大阪〆でお開きとなり、来年二月の仏滅会での再会を期して散会となりました。出席者は次のとおり。

田村 智子 渡辺利枝子 田村 耕三 

平賀 三郎 翠川こかげ 相宅 史子 

三宅 俊行 出嶋美千子 西岡 知恵 

小澤 聰 外海弘美子 福島 賛

中尾 真理 森田由紀子 山口敬多 

真下 庄作 西浦 寛 外海 靖規 

長谷川明子 小野 功雄 大島 洋子 

森川 智喜 篠田 典子 藤原幸栄子

山田  誠 津田 葉月 糸井 邦佳

本間 昭子 三宮由紀子

              

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