第202回仏滅会報告

増田 健太

 第202回仏滅会が、京都大学百周年時計台記念館にて開催された。毎年春に京都で開催される仏滅会であり、例年はいつも暖かい気候の中での開催となるが、本年はまだまだ寒さの残る仏滅会であり、いつもと趣の異なる会となった。時計台の時計は1969年の学園紛争にて破損したが、今では鐘の音も復活し時を刻んでいる。

 当日配布されたWEJ424号の出席者以外の全国の会員に対する発送作業を手際よく済ませ、例会がはじまった。

 幹事の自己紹介のあと、久武正則さんから「ライヘンバッハ挿絵のミステリー」という発表をいただいた。いつの時代においても、安価で大量に印刷できるような努力がなされていたことは論を俟たない。より美しい印刷で販路を拡大するために仁科健著の『統計的工程管理』などを引用しながらの説明があった。また、当時の印刷所を描いた挿絵もふんだんに使用された発表だったので、当時の技術者たちの苦労がよく分かり、またそれが今の技術にも活かされているのだろうと考えられる発表であった。

 中嶋蔵書オークション結果(第1回)が発表され、関西支部古参会員のご厚意で提供された貴重な本が、それぞれ必要とする会員に引き取られていった。引き続き参加者の近況報告がなされた。今回が2回目の参加であるという中村哲郎さんから、この会を気に入っていただけたという言葉を聞いて大変嬉しく感じた。

 2つ目の発表は大倫敦子さんによる「ワトスンの見たアフガニスタン」であった。シャーロッキアンにとってアフガニスタンと言えば、A Study in Scarletの中でのホームズの“You have been in Afghanistan, I perceive.”というあまりにも有名すぎる台詞がまず思い浮かぶところであろう。ホームズ譚は事件そのものもおもしろいところではあるが、事件に突入する前のワトスンとの推理合戦的なものも大変興味深いところである(閑話休題であるが、私自身のお気に入りはThe Sign of Fourのワトスンのお兄さんの時計に関する推理のくだり)。しかし、アフガニスタンと聞いてもよく考えてみると、それがどこにあるのかも知らない自分に気づかされた。アフガニスタンの建国から、第1次アフガン戦争・第2次アフガン戦争と、その歴史について詳らかに解説いただいた。アフガン戦争って2回もあったんだ、と感じながら帰宅後読み返すと、確かにワトスンは第2次アフガン戦争に参加したと書いてあり、読書力の薄さも感じさせられた。質疑や意見も多くいただきたかったところではあるが、時間に厳しい会場ゆえ、それが難しかったのが残念である。

 懇親夕食会は本年も時計台記念館内にあるレストランLa Tourにて行った。会場予約のためWebで店舗を調べていると、自分が結婚披露パーティを行った会場と同じ系列店であることを知り、驚いた次第である(これも閑話休題)。懇親夕食会にも多くの方に参加いただき、話題もはずみ、充実した仏滅会であった。

 末筆ではあるが、今回幹事の仕事をお手伝いいただいた副幹事の高野敬子さんに、この場を借りて感謝したい。

[出席者]

平賀 三郎   翠川こかげ  鬼丸 武士

相宅 史子  西岡 知恵  見吉 時枝

中村 哲郎  大倫 敦子  高野 敬子

福島  賛  増田 健太  中村喜代美

山口 敬多  久武 正則  西浦  寛

眞下 庄作  長谷川明子  森川 智喜

真鍋 由比

          

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