第207回仏滅会&納会レポート

小澤 聰

 年末の納会は昨年まで梅田のパブ・シャーロック・ホームズで開催されていましたが、お店が日曜休みとなりましたので、西浦氏のご尽力で、急遽ヴィアーレ大阪の立派な会場で開催することになりました。また副幹事長を藤原幸栄子さんに勤めていただき、受付などを手際よく担当され、スムーズに運営できました。

 最初に平賀氏より関西支部のSH127年の事業報告がありました。事業報告は、毎年十大ニュースの形でなされ、当日配布されたWEJ433号2面に掲載されており、3面の「平成25年度のWEJ寄稿者について」と12面の「2013年関西支部運営の記録」も事業報告そのものです。詳細はWEJをご覧ください。

 なお、中嶋顕・中島文夫の両氏の寄贈本の紙上オークションの収益でWEJの10月増刊号と、7月のマジック仏滅会を開く費用に充てることができました。お礼申し上げます。

 最初の発表は田村耕三氏の「19世紀の数学者達」です。田村氏は塾の先生として有為の人材を育てられた名伯楽で、ご夫婦ともに関西支部の創立メンバーでもあります。

 今回は19世紀の英国数学界事情を、数学者の逸話や数学の引っ掛け問題をまじえて楽しく説明していただきました。

 19世紀はロシアやドイツが数学先進国で、イギリスはニュートン以来の権威主義と事大主義が災いしたのと、イギリス人の実学偏重により純粋数理論が無視され、さらにケンブリッジの卒業試験には必ず数学の難問珍問が出題されたことから、数学は不人気となっていました。

 二十世紀初頭にロナルド・ハーディーがケンブリッジの数学を改革したことにより、数学界は風通しが良くなり、漸く数学が発展しました。それでもイギリスの特有の人種主義によりインド出身の天才・ラマヌジャンは不遇な生涯を送りました。19世紀は数学者には生きにくい時代で、モリアーティが悪に手を染めたのは、不幸な時代に生まれたからではなかったかということです。

 ここで、中嶋元図書館長寄贈のホームズ本コレクションの紙上オークションの結果が、翠川こかげさんから発表されました。出席会員の落札は思いのほか少なく、絶版となった本の入手が困難な各地在住の会員の方の落札が多かったとの印象を受けました。

 12月仏滅会恒例のクイズは、本年は「ホームズ不思議クイズ」と銘打っています。観察の得意な会員なら、昨年が「ホームズおもしろクイズ」でしたから、ピピンとこ来たとでしょう。いずれも、関西支部の論客を中心に発行した『ホームズおもしろ事典』、そして今年は『ホームズの不思議な世界』がネタ本となっていて、その中から出題されていました。

 クイズを楽しんだ後、次の発表は田村先生の愛弟子で中学生の頃から関西支部会員であった、政策研究大学院大学助教授の鬼丸武士氏の「東風に吹かれて「大」空白時代をめぐる一考察」です。

 最後の挨拶以降を大空白時代として、高齢者ホームズは何をしていたのかの考察です。老後の収入と本人の能力、時代状況を補助線として考えます。第一次世界大戦は大英帝国の一大転機でした。この頃から、膨張主義より帝国防衛に政策が転換します。国家が国民を管理する情報システムが構築されました。ホームズはまさに情報収集と解析のスキルを駆使して、MI5やMI6の諮問探偵として活躍したことでしょう。新年4月から九州大学に転勤されるとか、学問の道での活躍が期待されます。

 閉会後は、館内の別室に移動して、河豚のコース料理で納会です。「てっさ」「てっちり」「唐揚げ」といった河豚のフルコース、最近にない豪華な納会となりました。

 西岡さんが秋に訪欧された土産のトカイワインで乾杯しました。まさに忘年会の気分を満喫しました。

 三次会はアイリッシュパブ「ケルト」で楽しみました。

 来年も関西支部の盛況を祈念して、散会。

[参加者] 

 大川 一夫  田村 朋子  渡辺利枝子 

 田村 耕三  平賀 三郎  翠川こかげ  

 鬼丸 武士  相宅 史子  出嶋美千子

 西岡 知恵  見吉 時枝  中村 哲郎

 西田 千穂  林  庄宏  小澤  聡

 眞下 庄作  外海弘美子  新野 英男

 福島  賛  森田由紀子  西浦  寛

 藤原幸栄子  西澤 昌子

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