第209回京都仏滅会報告

増田 健太

 2014年4月13日、京都での開催が恒例となってきた春の仏滅会を、本年も第209回仏滅会として京都大学百周年時計台記念館にて開催した。本年は春の訪れがいつもよりも少し遅いようでやや寒い気候の中での仏滅会となった。春になると色々な団体が冬眠から目を覚ましたかのように活動を始めるためか、会場は予約がそれなりに入っている。今回はやや広めな会場をおさえることができた。

 今回は、発表として以下の2題をいただき、充実した内容の仏滅会であった。

「ホームズと坂の上の雲」西浦寛さん

「ヴェルネなど正典に登場する画家について」渡辺利枝子さん

ホームズと坂の上の雲

 シャーロック・ホームズの活躍した時代は、日本においては幕末にあたる。事件簿の中でも日本との関係は少なからず語られている。学校では、世界史と日本史は別で習っていたが、この発表にようにそれを並列して調べられたことに大変興味深いものを感じた。

 "Gloria Scott”において、大学生時代のホームズはトレヴァー老人に対して「日本を訪れたことがありますね」などと、トレヴァー老人の過去について色々と言い当て、気絶をさせてしまう。日本箪笥があるというだけでは、輸入をしたものかも知れず、日本に行ったことがあるという根拠にはならないかも知れないが、発表後の意見交換の中で、日本箪笥に脚がついているかどうかが、その判別の決め手となるのではという意見が出た。西洋人は箪笥をかがんで開けるという概念がないので箪笥に脚を付けるが、日本で直接購入した物ならば脚がついていないままである可能性が高い。仏滅会の活発な議論により様々な示唆が出ることはとても喜ばしい。

 その他、多くの事件と日本との関係についても発表されたが、前号掲載の論文を参照されたい。

ヴェルネなど正典に登場する画家について
 
“Greek Interpreter”においてホームズは、自らの出自について語っており、祖母はフランスの画家ヴェルネの妹だったと言っている。

ヴェルネ家は親子三代にわたって画家の家系であったが、ヴェルネ家の家系図とホームズ家の家系図とを合わせてみると、シャーロック・ホームズの祖母という人は、オラース・ヴェルネのことだったろうと考えられる。ヴェルネ家の人たちの描いた絵画を実際にスクリーンで見せていただくことで、ホームズの時代にまるでタイムスリップしたかのように楽しく発表を聴くことができた。

 パワーポイントを駆使し、美しい映像を映し出していただき、充実した発表であった。

 2題の発表に加え、ティーブレイクでは、京大オリジナル瓦せんべいと金太郎飴が差し入れられ、いつもにも増して京都らしい仏滅会であったと思う。

 終了後、記念館内のレストラン「ラ・トゥール」で懇親夕食会を開いた。副幹事の藍見さんの進行で、幹事の私が挨拶し、遠来(?)の和歌山からの西田さんに乾杯の音頭をお願いした。

 末筆となり恐縮ではあるが、今回幹事の仕事をお手伝いいただいた藍見明石さんに感謝したい。

出席者は次のとおり

渡辺利枝子      平賀 三郎       翠川こかげ

相宅 史子      西岡 知恵       見吉 時枝

西田 千穂      林  庄宏       新野 英男

福島  賛      中尾 真理      増田 健太

眞下 庄作      西浦  寛       藍見 明石

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