第215回大阪新春仏滅会報告

眞下 庄作

 例年は2月上旬に開かれる仏滅会が仏滅の日を選んで2015年1月24日(土)に大阪駅近くで開催された。

 会場の中央電気倶楽部は、《最後の挨拶》の事件があった1914年の設立で、建物は三代目で短編集《シャーロック・ホームズの事件簿》の出版3年後の1930年の建設で近代化産業遺産の文化財に指定にされた歴史的建築物である。

 幹事は私と副幹事には何時も謙虚な姿の藤原幸栄子さんに引き受けて戴いた。

 開始前に恒例の出席者によるWEJの発送作業を行い開会する。

 前半の発表は、西浦 寛さんの「ホームズのアジトに関する考察」である。

 発表前にチャリング・クロスを中心にしたロンドン地図上にホームズのアジト(隠れ家・本文はrefuse)を記入された資料を配布された。

 ホームズの隠れ家は1895年の事件簿《黒ピーター》によればロンドン市内の各所に少なくとも五カ所の小さな隠れ家をもっていて・・・とあることから、住まいのリー

ジェント公園近くのベイカー街よりも、事件が多発した東のシティ地域の方であったこと、またロンドンから遠く離れた事件現場近くにもあったこと、また彼にとっては、隠れ家は変装・仮装、避難所であり、事件捜査にはコストがかかり、協力者がいたことなどを説明された。

1.イングランド銀行裏の針の製造や文とりに由来するスレッド・ニードル街の古物等を扱うジェイベス・ウイルスンの質屋で、通り名の由来もそれぞれ説明された。

2.ニュー・ゲイト街近くの変装むけのセント・バーソロミュー病院、

3.変装・犬の扱い慣れのランベス橋の近くのシャーマン老人の家、

4.中心に位置するトテナム・コート街近くのウォレス夫人の下宿、

5.トテナム・コート駅に近いユダヤ人の質屋、

6.ペル・メル街のマイクロフトの家、

7.ラングデール・パイクのセント・ジェイムズ・ストリート・クラブ、

8.セント・ジョーンズウッドの家、

9.コヴェント・ガーディン劇場の控所、

10.ワトスンの家で、なんと五カ所の倍以上となったのである。

 そして最後はハイド・パーク近くのパークレーンにもあったのであろうと発表された。

 テイーブレーク、近況報告と続き、平賀代表からWEJの1月号掲載の関西出身のスペイン在住の方からホームズ短編集「SHの冒険」1893年第2版、「SHの思い出」1894年初版を会員に譲りたいとのこと、希望者は購入価格等を平賀代表まで連絡をくださいとのこと。

 後半の発表は、渡邊利枝子さんの「ホームズ物語におけるフランス画家たち」である。

《ギリシャ語通訳》でホームズは「祖母はフランスの画家エミール・ジャン・ヴェルネ(1789-1863)の妹だった」と語っている。

 発表前にA4用紙4頁に、《ギリシャ語通訳》のヴェルネ、《四つの署名》のコロー、ローザ、ブグロー、《恐怖の谷》のグルーズなどの絵画39葉とヴェルネ家とホームズ家の繋がり、西洋美術史、絵画のヒエラルキー、アカデミーと三人について、幹事のセットの不手際でご迷惑をおかけしたが、パワーポイントによる素晴らしいスクリーン映写でよくわかる詳しい発表であった。渡邊氏は昨年にも「ホームズの先祖たち」でヴェルネ一族のジョセフ、カルル、オーラス、ドラローシュの絵画40数葉を発表されている。

 新春懇親夕食会は地下の「えれき亭」で、豚のしゃぶ・しゃぶと関西支部に戴いた高山市の舩坂さんが創られた大吟醸を味わった。

[仏滅会出席者]

 渡邊利枝子  平賀 三郎  翠川こかげ

 出嶋美千子  西岡 知恵  見吉 時枝

 小澤  聰  外海弘美子  西田 千穂

 眞下 庄作  中山 共子  新野 英男

 福島  賛  西浦  寛  外海 靖規

 森川 智喜  藤原幸栄子  堀江 美穂

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