第217回神戸仏滅会のご報告
高野 敬子


第217回の仏滅会は、5月30日(土)神戸勤労会館で行われました。初夏の少し暑さが気になる季節になったというのに、参加者中に3名もお着物の方がいらして、華やかな会になりました。
まず、平賀三郎代表から、第25回追分フォーラムについての報告がありました(WEJ452号p4〜5参照)。追分フォーラムは、「参加者全員が何らかの役割をすること」をモットーとしていて、それは仏滅会も同じことです。読むだけ会員にならず、例会に参加したりWEJに寄稿したりしましょう。続いて福島賛さんからSH紀要第19巻第1号の発行について、説明がありました。
最初の発表は、大川一夫先生の「日本民法とシャーロック・ホームズ」。先生は、あるときは弁護士、あるときはシャーロキアンでいらっしゃいます。このタイトルから、ホームズと民法の結びつきの想像がつかず、どんなお話かずいぶん楽しみにしていました。近々、民法典が120年振りに大改正される今、タイムリーな話題です。
日本民法の歴史、編纂者のことなど、大学の法学概論の授業のような感じで始まりました。ドイツ法が基調の現在の民法典に、英国法の影響を受けた条文が数カ所だけ(第43条、第416条)あるのはなぜか、というところが、今回のテーマと深く関連するところです。
その理由は編纂者の一人、穂積陳重が、ドイツに留学をしたのだが、若き頃に英国に留学し、英国法も学びました。彼の日記は「法窓夜話」(岩波文庫)などがあり、読み物としても面白いのですが、このたび新たに日記が発見されたそうです(未公開。真偽についても未確定)。その中には驚くべき記述が!(この先はお楽しみ)
衝撃の発表に気持ちが高ぶったところで小休止、西浦さん手作りのパウンドケーキと翠川さんのスイスのお土産のチョコレート頂きました。
このところハイペースで本を発行されている飯島一次さんの本の紹介もありました。
続いての発表は山田誠先生の「『スぺディックの魔球』を読み解くコナン=ドイルとクリケット2」です。山田誠先生はある時は大学の教授、
ある時はクリケット日本代表、という文武両道のお手本のような方でいらっしゃいます。
 私を含めてスポーツらしいという以外ほとんど知らないと思われる「クリケット」。「スペディクの魔球」はドイル傑作選に所収されている作品。ドイル自身も少年時代からクリケットに親しみ、MCCというクリケットの総本山ともいうべきクラブに所属し、クリケット史上最高のプレーヤーといわれるWGグレースからアウトを取ったこともあるのです。ホームズを知り、ドイルを知るには、クリケットを知らなければなりません。
発表はまずは、大人気の英国ドラマ「ダウントンアビー3」の第8回のクリケット大会のシーンを山田先生の解説つきで見ることから始まりました。「クリケットは垢抜けない野球」くらいのイメージしか持っていない私には羽子板の親玉のような板でボールを打つ人は「守備」という点が衝撃でした。「攻撃」とはバッターの後ろにある三本の棒(ウィケット)を倒すことなのです。守備はボールを打つ人ともう一人の打者が息を合わせて走らないと、点数が入らないので、このシーンで登場人物の人間関係が示唆されていたりするそうです。クリケットの場面と親の言には千に一つの無駄もない、ということですね。「クリケットのシーンはよく分からないから、この隙にお茶でも準備しよう」などという不心得者の私は要反省です。
二次会は、会場からほど近い、国際会館斜め前のシャンカルというインド料理屋で行われました。インドはクリケットのテスト国(国代表対抗の試合)の一つということで、幹事さん、グッドチョイスです!東京からお越しの飯島さんの乾杯の後、本格的なインド料理を味わいながら、例会で聞き足りなかったことを聞いたり、来る221回の仏滅会の案を話したりと、話に花が咲きました。
 
[出席者]
  飯島 一次  大川 一夫  渡辺利枝子
  平賀 三郎  翠川こかげ  相宅 史子
  西岡 知恵  見吉 時枝  外海弘美子
  高野 敬子  福島  賛  真下 庄作
  西浦  寛  長谷川明子  篠田 典子
  谷田  巡  吉本 研作  山田  誠
  藍見 明石  堀江 美穂  林  千佳

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