第220回京都仏滅会のご報告

増田 健太

第220回仏滅会が、2015年12月6日(日)に京都大学百周年時計台記念館にて開催された。仏滅会という名の通り、仏滅での開催である。時計台での開催は例年、春の開催であったが、今回は年の瀬12月となった。クリスマス前ではあったが、京都の中でも端のほうに位置するためかクリスマス風景でもなく、また京都が最も観光客で賑わうともいわれる紅葉の季節も過ぎたために、落ち着いた街並みであった。

 が、偶然にもこの時季は、京都大学の学生寮である熊野寮の定例祭「熊野寮祭」が開催されており、京都大学のシンボルともいえるクスノキが巨大な看板に覆われていた。京大病院に職員として身をおく立場ながら初めて見る光景に、やや驚きの念を禁じえなかった。

 今回も、恒例のWEJ発送作業に始まり、幹事より開会の辞が述べられた。今回、副幹事をご担当いただいた林さんの紹介に続き、平賀さんから12月の関西支部納会ということで事業報告をいただいた。時間の関係で、詳細は次号WEJでご覧くださいということになった。

 今回の発表は、藍見明石さんの「ロシア最新版ホームズの世界へようこそ」と、長谷川明子さんの「ホームズ物語とアメリカ」の二題であった。

「ロシア最新版ホームズの世界へようこそ」

 ロシアでは、かつてソビエト連邦時代に作成された最もポピュラーなホームズ作品があったが、近年ロシアにて再度ホームズ作品が作成され、2013年にロシアの国営放送にて放送されることとなった。日本でもAXNミステリーという有料チャンネルにて放送されたが、ほとんど知られていない。これを今回の発表にて、藍見さんが紹介してくださることとなった。

 3分の予告編映像を藍見さんの解説とともにスクリーンにて供覧したが、その短い映像を見るだけでエネルギッシュな新しいホームズの様子が手に取るように伝わってきた。そして、ホームズ物語の中でも有名なエピソードであるThe Final Problemにおけるモリアーティ教授との決闘と、それに続くThe Empty Houseでのホームズとワトスンの再開シーンがとりあげられ、映像を供覧した。

言語がロシア語であるにも関わらず、ストーリーを知っている立場で観ると、何を話しているのかが何となく耳に入ってくるようであった。

 旧ソビエト連邦版ホームズとの比較や、旧ホームズを演じた俳優さんの辛辣な評価も印象深く、非常に興味深い発表であった。

「ホームズ物語とアメリカ」

 長谷川さんがフルブライト留学生としてアメリカにおられた時の経験が今回の発表へとつながっているというお話に始まり、ホームズ物語の中にとりあげられているアメリカについて深く掘り下げた内容を発表いただいた。ホームズ物語には、アメリカが関わっている事件がいくつかあるが、そのうち今回の発表では、The Yellow FaceとThe Five Orange Pipsの二作品が取り上げられた。

 The Yellow Faceの中で、エフィーはアメリカのアトランタに住んでいた頃に結婚したという記述があるが、斜め読みしている読者にとっては深く考えないことかも知れないが、アトランタといってもアメリカには複数の同じ地名が存在するとのことで驚いた。自分にとってのThe Yellow Faceは、ホームズが大活躍するわけでもなく、大きな犯罪が潜んでいたわけでもなく、夫婦愛が描かれた平和的ストーリーかと思っていたが、正典研究というのは、様々な題材があり、奥が深いものだと感銘を受けた。

 次回の仏滅会は第221回という記念すべき会が、2月21日という趣味の会ならではという日付に開催される。その仏滅会幹事である大川一夫さんから、開催趣旨のご説明をいただいた。221A〜221Dという四部構成で、これもまた一般の方から見ると何のことか分からない数字となっている。大人の娯楽として申し分ない企画かと思われる。

 公式二次会は、寒い中ではあったが徒歩にて三条京阪に向かい、豚しゃぶ宴会となった。話題が尽きないことが予想されたので三時間飲み放題を最優先で店舗選択を行ったが、気が付いた時にはいつの間にか夜も更けており、散会となった。

 寒い季節にも関わらず多くの方にご参加いただけたことを、この場をお借りして感謝したい。

〔出席者〕

大川 一夫  平賀 三郎  翠川こかげ

西岡 知恵  見吉 時枝  西田 千穂

福島  賛  中尾 真理  増田 健太

森田由紀子  眞下 庄作  長谷川明子

藍見 明石  林  千佳  吾妻  灯

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