6月4日土曜日 第223回仏滅会

渡辺利枝子

 当日、朝起きると雨は降っていなかった。幹事としては胸をなでおろした。何しろ、ここ数年奈良仏滅会を開いていた交通至便の会場が閉鎖されたのである。冷や汗ものであったが、エルトピア奈良が予約できた。だが、観光地から外れた場所なので、二次会がうまくできるのやら、てるてる坊主に祈りたくもなるというものだ。遠路はるばるお越しいただいた方もおられ、みなさん本当にありがとうございました。

いつも通り、発送を手分けして手伝い、講師お二人も揃ったので、開会とする。

 福島さんの発表は「白面の兵士の消息」人気のない作品の舞台を探るシリーズである。これは古来(?)ユーストンかセントパンクラスかと有名な論争があるケースだ。何しろ、ワトスンは「ユーストン駅へ馬車を走らせる途中で」と書いているのに、行先のベッドフォードはセントパンクラス駅からしか行けないのである。ワトスンが個人特定を避けるために固有名詞をわざと違えたとして、どちらがフェイクなのか問題となる。福島さんはいつものGoogleMapとインターネットを駆使して、論理的に絞り込んでいく。Moggerhanger Houseがベッドフォード付近では一番有力そうだ。その後、ユーストンからだとバーミンガムで乗り換える説なども紹介された。候補地のお屋敷の写真を見つつ候補地はテーマパークのようなもの(WoburnAbbey)になったり、結婚式もできるホテルになったり、いつか訪れてみたいものだと思った。

 ティーブレイクにみなさんからのおみやげの菓子いただき、恒例の近況報告である。関連本などの紹介、田中喜芳さんの展覧会関係で希望者に絵葉書も配られた。

 後半の発表は新野さん、「子ども達にとってのホームズの世界」。昨年8月発表の「ホームズの世界における人の死」についての研究に続くもので、子どもたちを対象にしてみたそうだ。ただ、そもそも子どもの定義から難しく、生活水準のランクも時代によって変わってしまうので、しっかり結論が出せないとのことであったが、全作をチェックしたリスト付きの労作であった。後に発表された作品の方が被害者となる子どもは多いそうだ。初期のワトスンは目につく少年をことごとく浮浪児呼ばわりしていて子ども嫌いだったのか?など面白い指摘もあった。前半作品と後半作品では、依頼者の階層や世相が変わっているなど議論が盛り上がった。

 さて、ならまち外れを通って二次会会場へ。以前の会場だと興福寺境内など通って行けて観光気分だったが、少しでも奈良らしさをと裏道を選ぶと昭和にタイムスリップしたような銭湯があったり、坂の上に古刹の屋根が見えたりして、面白い気分を味わってもらえたら幸い。15分くらいでいつものチャイナダイニング飛天というお店でいつもの窓際に面したコーナー、飲み放題3時間がうれしい。お料理も食べきれないくらいだった。

 三次会として有志8人でバー・フィディックへ。フィディックとはあのグレンフィディックのフィディックで、鹿のこと、もちろん鹿の町奈良にちなんだ店名だ。ウイスキー研究家の見吉さんがまだ飲んだことのなかったスコッチを発見、次の研究発表が楽しみだ。私は賞を取ったというカクテルとキウイを使ってビールくらいのアルコール度数でさっぱり目のカクテルをいただいた。「バーフィディック」で検索するとマスターのツイッターが出てくる。店先のツバメの巣の心配をするお人柄にほっこりする。珍しいビールや旬の果物を使ったカクテルも紹介されているので、奈良に来られた時にはオススメです。

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