第227回神戸例会仏滅会報告

篠田 典子

 

2016年10月2日(日)、神戸市内にある三宮コンベンションセンターで第227回仏滅会が開かれた。会場が駅から遠いうえに分かりづらい場所だったため、出席された方々にはご苦労をおかけしました。

まず平賀代表から、関西支部35周年記念行事についての案内をしていただいた。来る12月10日(土)の第229回仏滅会が、関西支部創立35周年の記念仏滅会になるとのことで、その際発表されるホームズ物語ベスト5&ワースト5を記入するアンケート用紙が配られた。ホームズクラブとしての直球ど真ん中の企画にわくわくしつつも、一体どれを選んだものやらと、秋の夜長しばらく考えることになりそうだ。年内は、229回記念大会、11月の228回仏滅会ともに楽しい企画と発表が並んでおり、参加するのがとても楽しみだ。

さて、1つ目の研究発表は、増田匡裕さんの「可能な限り“癒やし系”だったホームズ マニュアル思考でない対人援助」だ。“癒やし系”シリーズ第4弾ということだが、発表の中で増田さんが「ホームズは"本当に困っている人"には"本当に"優しい」と繰り返し言われたのが印象的だった。

ホームズは、例えば『ウィステリア荘』や『緑柱石の宝冠』に出てくる依頼人のような、うろたえてみっともない恰好をしている人には親切である。それは、「この依頼人は、いつもは変な恰好などしていないだろうに今まさに変な恰好になっているのは、それほど大変な目に遭ってきたということなのだ」とホームズが心を寄せるからである……と書くと、ホームズが本当に常識人に見えてきますが、合ってますか、増田さん? 発表後、活発な質疑応答が続き、前半は終了した。

ティーブレイクを挟んだあと、近況報告が行われた。今回も多くの方から、ホームズ関連本やミステリー本の紹介をいただき、とても興味を引かれた。それにしても、みなさん本や映画やイベントをよくご存知で、興味の幅が広い方ばかりである。近況報告を聞いているとき、いつも「活発でいいクラブだなあ」としみじみ感じている。

後半の2つ目の研究発表は、山田誠さんの「イギリス紳士の作り方―フェアプレイとスポーツマンシップ」だ。クリケットの大まかな説明をしていただいたあと、クリケットに求められるフェアプレイ精神について話は進んでいった。イギリスではクリケットはフェアプレイを体現するものと考えられていて、チームワーク、忍耐力、勇気なども求められるということである。日本では、相撲あるいは剣道や柔道のような「○○道」と名のつくスポーツに理想の精神性を見い出そうとしているように思う。比べるなら、日本が個人競技で自己の完成を求めるのに対し、イギリスでは集団スポーツである点が興味深いと感じた。

ホームズはボクシングをすることからもわかるように個人競技型だが、クリケットの腕前はどうだったのだろうか。そもそもホームズは、クリケットをどのようにとらえていたのだろう。時間が押してしまって質疑応答を割愛してしまったのだが(すみません!)、クリケット向きの資質や性格のタイプがあるのかぜひ伺いたかった。

一次会終了後、慌ただしく二次会の会場に移動となった。二次会は、神戸国際会館地下のイタリアンレストランで開かれた。幹事の私が手配しておきながら、出てきた豚肉料理の迫力に自分でもちょっとびっくりした。

何はともあれ、今回も無事開催できてほっとしている。個人的には、福島さんに教えてもらった本『アガサ・クリスティーと14の毒薬』が大収穫だった。後日ネットで注文したものの、まだ手元に届いていないのがもどかしい。いつの日か、ホームズと毒物の研究発表ができたらいいなあと夢想している。

 

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