第230回関西例会仏滅会のご報告

森田由紀子

 

2017年の最初の仏滅会は2月12日大阪難波のOCATビル4Fの市民学習センターで開かれた。数日前からの悪天候、参加者の出足を心配したが、迷った人もあり、会場の選定や案内にもう少し配慮すべきだったかなと最初から反省。

 まずいつも通りの会報の発送から始める。今回は新しい会員証の同封作業があり少し時間がかかった。(皆様のお手元にはすでに西岡知恵さんデザインの素敵な会員証が届いていることと思います)

 最初の発表は山原翔太さん、テーマは「シャーロック・ホームズと馬車」。ホームズの活躍した時代の辻馬車は?二輪タイプで御者一人、乗客2人のHansomタイプ、これはホームズとワトソンがロンドンの街中でよく利用したタイプ。もうひとつは四輪タイプで御者一人、乗客2〜4人。

 この馬車の紹介に続いて、ではこの馬車の料金はいくらだろうか? 2014年11月に山原さんがロンドン交通博物館で見た馬車の運賃の説明には「1891年の馬車運賃はベイカー街からチャリングクロス駅まで16ペンス(現在約800円)であった。」とある。山原さんが疑問に思ったのはベイカー街からチャリングクロスまでの距離は約2マイル、16ペンスは良いとしても日本円換算では安すぎはしないかということである。

その疑問から山原さんはCost of Living for a senior clerk 1844とYearly Expenditure 1888 のデータから1ポンド10万円換算位が妥当、その計算だとベイカー街からチャリングクロスまで8,500円かかり、やはり馬車は高くつくものでありそれなりの身分とか収入がないと利用できない乗りものであったという結論を導き出した。この換算レートに関して出席者の方々からいろいろな意見、資料のアドバイスなどなど多数、見吉さんが佐々木一仁さんに会場から連絡を取り当時の換算レートは1ポンド約4万円という返事をいただいた。このレートでも3,000円を超えるわけで、とても庶民が利用できる金額ではない。

山原さんはパソコン持参で質疑応答時もパソコンのデータを検索しておられたが、これからパソコンに慣れた方の発表にはプロジェクターの用意がいるのかなあ〜とそんなことを考えた。最近の大学の公開講座でも大型スクリーンにきれいな画像や表が映し出されて理解しやすい気がした。

 続いてティーブレイク、その後これもいつも通りの自己紹介、近況報告、情報交換など。

 次の発表は中島俊郎先生「ホームズとビートン夫人」。シャーロック・ホームズが緋色の研究で世にデビューしたのはBeeton’s Christmas Annual of 1888の誌上で、ビートン夫人が著したビートン夫人の家政読本は当時もベストセラー、その後も再版を重ねて人気がありました。中島先生も現物2冊を持参されましたが、内容も加筆されてかなりのボリュウムになっていました。

内容はビクトリア時代の家事全般のマニュアル本とでもいうか、料理から女中さんの管理にいたるまで幅広いものです。料理と言えばホームズの物語の中にもいくつか出てきますが、中でも青いガーネットはガチョウが登場、話の中で重要な役割をしています。ビートン夫人ももちろんガチョウの料理を紹介しています。

 この料理の話の前に青いガーネットの中の情景描写や窓の外の景色の表現を先生は「良いですね〜。きれいな文章ですね〜」と何度か言われ、文学の講義を聞いているような印象に残った。

 いただいたレジュメよりかなり急いでお話されているようで気になったのですが先生は後の懇親会の時間を気にされたようでこれも幹事の連絡ミス。申し訳ないことでした。

今回の二つの発表はいつもより質疑応答や関連の話題に話がはずんだように思います。発表の後は中島先生はじめ有志の方々からいただいた本を抽選で皆さんにプレゼント。2日後はバレンタインデイでもありますから。懇親会は同じOCATビルの5Fのビアホールでした。会の途中で新潟から遠路はるばる山崎準勝さんが到着、雪で電車が遅れたそうで間に合って良かった!

〔出席者〕  平賀 三郎  翠川こかげ 

山崎 準勝  西岡 知恵  見吉 時枝

福島  賛  中尾 真理  中島 俊郎 

森田由紀子  眞下 庄作  長谷川明子

吉本 研作  林  千佳  指  昭博 

川島 昭夫  山原 翔太

 

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