第232回神戸仏滅会報告

堀江 美穂

 

2017年6月18日、晴天のもと神戸のレガッタアンドアスレチッククラブにて、第232回仏滅会が開かれました。会場のレガッタアンドアスレチッククラブは、1870年にスコットランド人シムによって外国人居留地に設立され、日本の近代スポーツの発展にも大きく貢献したクラブです。館内には歴代の会長の名前が記された重厚なボードが飾られるなど、そこここに港町神戸の歴史を感じることができます。なかなか入ることができない会場をアレンジしてくださった幹事の篠田さんありがとうございました。

開会前にレガッタアンドアスレチッククラブの東マネージャーが特別にクラブの歴史をご紹介くださったあと、見吉時枝さんから追分フォーラムの報告がありました。

さて、この日最初の発表は吉本研作さんの「緋色の検索」。18世紀後半のブランメルから続くダンディズムの流れを、該博な知識とユーモアを交えながら語ってくださいました。

ダンディといえば「服装に気を使うお洒落な男性」というイメージしかありませんでしたが、外見だけでなく貴族的な精神性と洗練されていることが重要だとのこと。自らに制約を課した中で自分を表現するところは、日本の茶道などと通じるところもあるように感じました。

勿論、ホームズもその孤独さとストイックさゆえにダンディズムを体現しているといえるでしょう。ハードボイルド小説における男の「やせ我慢」の美学や皮肉とユーモアを通して社会を見つめる「エスクアイヤー誌」のデザインに見えるダンディズム・・。お話しの面白さも勿論、吉本さんの緋色のブレザー姿も素敵な楽しい講義でした。

 ティーブレイクに続く各自の近況報告では、会員の大川一夫先生が一葉社から出版された「ホームズ!まだ謎はあるのか?:弁護士はシャーロキアン」の紹介が平賀代表からありました。

 2つ目の発表は林庄作さんによる「The Blue Carbancle ノート」。宝石がたどった経路を時間軸で整理しながら事件を整理したあと、

「ないはずのものがある」をキーワードにこの事件の謎を解いていきます。カーバンクルとは丸く加工したガーネットのことですが、この宝石は普通赤色。青いガーネットはそもそも存在しないそうです。また、「アモイ川」で採れた石となっているがそのような名前の川は存在しない、コヴェント・ガーデンは青果市場のためガチョウの卸店があったとは考えられない・・・等々。つい読み飛ばしてしまいそうな中に、まだ多くの謎が残されていたことに驚きました。

また、ホームズは真犯人を警察に渡すことなく赦してしまいますが、無実の罪で捕まっているホーナーはどうやって釈放されるのか? モーカー伯爵夫人の懸賞金1000ポンドは誰の手に渡るのか? など、最後まで解明されない問題も提起され、興味は深まるばかりです。時間の制約でもっとゆっくり林さんのお話が伺えなかったのが心残りでした。

その後の懇親会は、同じくアスレチックアンドレガッタクラブのレストランで開催されました。

 

 

 

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