第235大阪仏滅会、納会報告

森田由紀子

 

2017年最後の仏滅会は、難波の市民学習センターで開催されました。今回は会員から寄せられた書籍等のプレゼントや、平賀代表による納会の報告もあり、幹事としては進行が気になるところ。いつものWEJの発送作業の後、早速最初の発表、遠路千葉からご参加の佐々木一仁さん。

「南サセックスに足跡をたずねて〜ケインズとホームズ〜」です。経済に強いとは思えないホームズとケインズにどんな接点があるのかなあと興味津々でした。ケインズ一家は秀才一家で両親、 弟と本人はケンブリッジ大、妹はノーベル賞受賞とエリートファミリーです。ケインズは卒業後大蔵省イングランド銀行代表理事 世界銀行やIMF設立に寄与し後に男爵に叙せられています。ケインズの住んだ邸宅Tilton Farm は今もSussexに残っていて宿泊施設として利用されているとのことで引退後のホームズの家のすぐ近くです。

経済学の歴史をざっと説明いただいた後はいよいよ本題のケインズとホームズの縁ですが、?二人ともケンブリッジ大卒(これは異論もありますが)。?ケインズのインド省や陸運局勤務時代にマイクロフトと会った事があるのでは。?ケインズの弟ジェフリーは軍医で文学者との交流でも有名、ならばワトソンとも接点あり? ?そして南サセックスのTilton Farmではホームズが引退後養蜂の傍らケインズと交流したとも考えられる。などなど。二人で何を語り合ったのか興味ありますね。性格も二人は似通っていてアクティブでフェアー、知的好奇心旺盛。愛した女性像までも。ケインズ夫人は有名なバレリーナ。ホームズは勿論アイリーン・アドラー。なるほどね。

ティーブレイクの後は川島昭夫先生の「ホームズ譚はロンドンの物語か」です。

アーサー・コナン・ドイルはエディンバラ出身とは知っていたが、ホームズシリーズはロンドンで書かれたものだと漠然と考えていた。しかしレジュメの作者年譜を見るとロンドンで長く生活したわけではない。海外生活も長い。先生の話はまず《緋色の研究》の中のブリクストン近くのロウリストン・ガーデンで起きた事件の現場の記述。事件現場の家の手前100ヤードで車を降りて少し道路から引っ込んだ場所にある現場をあれが問題の家とはたして指摘出来るか。なるほど見えるワケないですね。唇の捩れた男に登場するアヘン窟にしても記述通りとすればその辺りは市場であり、アヘン窟がありそうな場所ではない。その他にもいくつかの例を示してロンドンの事件現場は現場をよく知った人物が書いたものとは思えない。実際の状況と描写が一致しないものがあると説かれました。

さらにロンドンの事件は思っているほど多くないし、登場する地名が至極限られた場所に集中している。ドイルの土地勘のある場所を適当に事件現場に選んだか? この辺まで聞くと、私など知っている地名も割合あり、主にロンドンという舞台で活躍したホームズという風に考えていたのが、何も考えずに読み流していただけだったのだと反省しました。残念なことに報告者以上に疑問を抱いた出席者は質問をしたかったのではないでしょうか。川島先生の質疑応答の時間が全く取れなかったのが残念でした。       

5時きっちり終わり速やかに部屋を明け渡す必要があり失礼しました。

イギリスのホームズ縁の地を訪ねた人も多いからきっといろんな質問やら意見が賑やかに交わされたでしょうに本当に残念でした。

二次会は同じビルの上のビヤレストランで。副幹事の見吉時枝さんに進行役を交代していただきました。見吉さんは次の珍しいウイスキーを楽しめる場所まで用意して下さって一同楽しい時間を過ごす事が出来ました。

 

 

  

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