第238回神戸仏滅会報告

篠田 典子

 2018年6月2日(土)、神戸の御影公会堂で第238回仏滅会が開かれた。映画『火垂るの墓』にも登場する御影公会堂は、1933年(昭和8年)に建てられた。

第二次大戦や阪神淡路大震災をくぐり抜け、当時のレトロモダンな佇まいそのままの外観や内装が大変美しい建物だ。

また地下1階には、柔道の祖・嘉納治五郎を紹介する記念コーナーや、オムライスで有名な食堂がある。

早く来た仏滅会参加者は、バリツに思いを馳せたり昭和レトロを写真に収めたりオムライスに舌鼓を打ったり…と、会が始まる前に会場を大いに満喫したようだ。

仏滅会に割り当てられた303号室も、重厚な柱や高い天井が印象的な部屋だった。会場を手配してくださった吉本さん、ありがとうございました。

 さて、今回の1つ目の発表は、その吉本研作さんの「Sherlock Hoaxの研究」である。「Hoax」とは「かつぐ、いっぱい食わせる」の意。

発表では、吉本さん仕込みのHolmesグッズならぬHoaxグッズが次々と登場した。ホームズのスケッチ画、ホームズの奏でるバイオリン曲が録音されたレコード(聞けなかったのは残念!)、怪しげな液体の入った小瓶、配布資料の中にはシゲルソンの署名が残るシーラカンスの魚拓や『実用養蜂便覧』の写真…。

どれが本物で偽物なのか、いや本物はあるのか!? 吉本さんの縦横無尽の想像力(むしろ創造力かも)に、参加者はみな圧倒された。

 ティーブレイクの後、私がいつも楽しみにしている近況報告が始まった。この時間には、ホームズやミステリーやイギリスに関するさまざまな本や資料が紹介される。

今回は、渡辺利枝子さんから見せていただいたスコットランドの10ポンド紙幣の見本が印象的だった。

おもて面にはドイルの肖像、うら面にはホームズのイラストが入っている、まるでシャーロキアンのための紙幣である。

うら面に捕鯨船が描かれていることを、後半の発表者である中島俊郎さんから教えていただいた。

スコットランド人のドイル愛といったところだろうか。

 その中島さんの発表は、「捕鯨とシャーロック・ホームズ(1)」である。準備されている間に内容が膨らんで1回では収まらないボリュームになったそうで、今後第2弾があるそうだ。

今回は、ドイルの乗った捕鯨船が辿ったコースを地図で見たり、ドイルがどのような思惑で捕鯨船に乗ることを決断したのかといった点からの発表だった。

そして、ドイルがこの捕鯨船での体験をどのように作品に活かしたのかについて触れられた。

船長の話し相手をすることもドイルの役目だったこと、何も起こらない船旅が若きドイルにとっては退屈だっただろうこと、ドイルの乗った捕鯨船の収穫が大猟とは言い難かったことなど、とても興味深かった。

この続きは、次の機会にお聞きください。

 仏滅会閉会後、懇親会会場まで石屋川沿いの公園を北上した。この日は朝からからっと晴れた最高のお天気で、夕刻の散歩も大変気持ちのいいものだった。

懇親会は発表者の中島さん自ら手配してくださった、とても賑わっていてお料理が美味な中華料理店だった。参加者は移動中も六甲の山並みを見ながら写真撮影三昧。

そしてレストランでは本格的な麻婆豆腐に驚き、中島さんからのホームズ本プレゼントの抽選に沸いた。こうして会は大いに盛り上がったのだった。

 

 

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