第241回神戸仏滅会報告

山本 公代

 

2018年12月2日、好天のもと神戸の甲南大学にて241回の仏滅会が開かれました。キャンパス内に一歩足を踏み入れるとモダンな建物と四季折々の木々に目を惹かれ、今回の仏滅会は例をみない大学教室での開催で心が躍ります。

また会場が221号教室とはシャーロキアンにとっては最高のシチュエーションですね。早めに会場入りした方々のおかげで、WEJ494号(SH紀元132年納め号)発送作業もスムーズに終わり、幹事の林庄宏さんによるあいさつで仏滅会が始まりました。

最初の発表は指昭博さんによる「マスグレーブ家の儀式書の謎」。カフェ・ノワールでなぜ斧を持って立ち向かったのか、季節の違いの矛盾点の話から始まり、パソコンの画像を映写してイギリス、スコットランド王など多くの王冠の変遷も見せていただきました。王冠は一王朝に一個のみ、それを代々受け継ぐ者と思っている方も多いと思いますが、中世の王様は複数の王冠を持っていたこと、エドワード2世は10個以上持っていたというお話はとても興味深かったです。

マスグレーブ家の地下倉庫にあった王冠はどなたか冠したものが三つの可能性を提起されました。

地下室の入口の敷石を取り除くことも突然にはなかなか困難で、いくつもの叙述に関する疑問も呈示していただきました。

1時間の発表は謎解きのように伏線がはられ、あっという間の楽しい時間でした。指さんが入会されたのが221回だそうで、221という数字はやはり運命を感じます。

ティーブレイクには、前日の12月1日付で発行された『シャーロック・ホームズ紀要』の配布・即売が行われました。

お茶の後、相宅さん進行による紙上オークションの発表と落札品渡しと、プレゼント交換が行われました。各人が持ちよったプレゼントに関西支部が提供した資料なども添えられ、その中から出席者が自由に貰う形式でした。レアな本やイギリス小物、バラエティに富んだものばかりでどれにしようか迷ってしまいます。

その後例によって近況報告と情報交換を行い、今回2名の新しい方にも自己紹介をかねて報告を頂きました。会員が前仏滅会以後に耳にした情報が報告され見つけた本などの回覧も行われ、有意義なひとときでした。

次の発表は平賀さんによる「モリアティ教授の死体を追って」。かねていろいろな矛盾や疑問を呈しておられますが、ワトソンが記述している英国旅館と滝の所要時間が不自然なこと、モリアテ

ィの死体を見つけることが困難であることとされていますが、この点も細かく考察し説明して頂きました。縮尺2万5千分の1のLANDESKARTE DER SCHWEIZの地図を見せてもらいましたが滝は深山幽谷になく、マイリンゲン村のすぐ郊外にあり、また直下しておらず死体が沈むだけの深淵ではない事を知り平賀さんならではの観察、分析力に脱帽致しました。詳しくはWEJに連載されており、今回発行された『SH紀要』にも掲載されているので簡単に報告されましたが、まだまだ続きをお聞きしたかったです。ホームズは「ほかのあらゆる可能性がすべてだめになったら、いかにありそうでない事も残ったものが真実なのです。

懇親会はキャンパスに併設されているプロントにて行いました。学生会館の中にありますが、夜はビールも飲めるとのこと、この日も大学内でグラス片手に和やかに話がはずみました。中島先生によるユーモアたっぷりの挨拶と3月にご結婚される新野さんに乾杯の音頭をお願いし、12月にふさわしい鳥料理や沢山のおいしい食事を頂きました。中島先生の司会によるビンゴゲームのサプライズ(プレゼント交換その2)は大いに盛り上がりました。プレゼントを提供いただいた中島さん、小野さん、見吉さん、また共に幹事として色々教えて頂いた林さん、様々なサポートをして頂いた福島さんに感謝申し上げます。ことに福島さんは卒業生でもあり、設営など一切の裏方のお仕事を担当いただきました。

 

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