JSHC全国大会KOBE大会報告

実行委員長 林 庄宏

 JSHC第61回KOBE大会は、9月14日(日)13時から、神戸市のホテル北野クラブ六甲荘において、参加者81名のところ欠席1名、新聞を見ての参加3名の計83名で開催された。

 エルガーのPomp and Circumstance が高らかに鳴り響き、まさに堂々の開始となった。本大会のオープニング演奏とBGMは大会音楽監督の音楽家田村朋子さんによるものである。

 実行委員長の開会挨拶に続いて、最初のプログラム松下了平さんの導入解説「ホームズの部屋と神戸」。ホームズの部屋の17階段もさることながら、神戸の「にほんで初めて物語」のオンパレードである。静岡・熊本などと軌を一にするご当地話であった。

 事務局東山あかねさんからは、いつものとおり現在会員数、諸活動及び会員の最近の活動動向についての報告があった。

 井野瀬先生本日のイベント第一は、甲南大学・井野瀬久美恵教授の講演 「事件は帝国からふってくる---シャーロック・ホームズの推理の背景」である。先生は、大学の教科書の中に平気でホームを引用してしまう恐ろしい方であるが、いま大英帝国を語るに最も相応しい方でもある。資料は自ら用意いただいた。

 ホームズ物語には、生きた時代背景が色濃く描写される。この点が他のミステリーと決定的に異なるところである。The Sign of Fourを引きながら、赤くぬられた大英帝国地図の隅々から伝わってくる大きな歴史の流れを説き、一方では新聞1面のアゴニー・コラムの微細な真実を解く。先生の「語り」にかかると不思議と引き込まれてしまうのである。

 旭堂南海師イベント第二は、関西屈指の講釈師・旭堂南海先生の講談「赤毛組合」である。講談に馴染みのない方々も多いと思われたので懸念されたが、なんのなんの、その語り口の鮮やかさには一同只々感嘆するばかりである。シャーロキアンなる人種の「ホームズ学」なるものを行っていることも周知で、最近のトピックスから、また直前の井野瀬先生の講演からと、臨機応変に題材をとりこみ聴衆をあきさせない「ワザ」はさすがに見事というほかはない。その記憶力もさることながら、ウィットとユーモアが素晴らしく、この日一日は南海先生こそが正真正銘一番の「赤毛」通であった。

 特色ある座席カード、懇親夕食会、公式二次会、楽市楽座などは、担当実行委員から報告があるのでここでは、司会者の上甲さんのよく通る声と、進行役の熊上さんが、次の出番の人を予め委員長席の隣の講師席に誘導する役目を果たしてもらったため、予想外の多人数が参加されたにもかかわらず順調に進行されたことを記しておく。

 第2日目の朝一番は、地獄のホームズ検定である。時間は40分。出題は、ごく一部を除けば、見事にレべリングされているといえよう。今はお遊びかも知れないが、近い将来ニーズがあれば、いつでも全国検定に対応できるものになっていると確信する。

 春の大会については、内山和子さんよりご挨拶があった。東京都での次回大会での再会を約してKOBE大会の幕はおろされ、英国館への案内へと移った。

 英国館の入館券については、当初、記念特別券を作成しようとの案もあったが、結局通常の入館券の裏面に記念シールを貼ることにした。これにより大会当日に限らず、後日いつでも使用できるからである。ちなみに使用期限はない。

 最後に、長らく準備にたずさわり大会成功に導いていただいた実行委員のみなさん、および多大なご協力をいただいた六甲荘と英国館に心から謝意を表します。  

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