6月の話題

中嶋蔵書紙上オークション終了

 関西支部の古参会員である中嶋顕さんは、郷里の香川県に転居されて書店を開いておられた。

それが、ご実家に戻られることとなり、所蔵のホームズ関係本を関西支部に寄贈され、同好のシャーロキアンで必要とする会員に頒けてほしいとのありがたいお申し入れがあった。そこでWEJ3月号(423号)と5月号(425号)の2回にリストを公表し、3月号で公表した分は3月末〆切、5月号で公表したものは5月末を〆切として入札を受付け、それぞれ4月の京都仏滅会と6月の奈良仏滅会で開札し、それぞれ最高額を入札した会員が入手することとなった。オークションの参考価格も古書事情をよくご存知の中嶋さんにつけていただき、これを最低入札額とした。参考価は古書店相場の50〜60%を目安とした。

 その結果、合計評価額で21,490円分の本を提供いただき、オークションした結果19,460円の落札があった。

 今回の中嶋さん提供本の中から、オークション実施の話題をいくつか拾ってみよう。

 まず、1985〜86年にかけて発行されたゲームブックがあった。約30年前の出版であるが、まるで探偵が犯人を捜査するように、判明している事件の経過、集められた証拠の品々や状況などを1冊の本に仕立てたまさに探偵ゲームを楽しむもの、さだめし現代のテレビゲームや携帯ゲームの書物版である。これは3冊提供されたが1冊が落札された。

 また講談社から発行された『シャーロック・ホームズ原画大全』があった。世界的なシャーロキアンだあるジョン・ベネットショーの膨大な収集本の中から全60編のイラストを集めたものでシャーロキアンにとっては座右に置くべき資料である。定価は2000円、参考価は600円であったが定価の2000円で落札された。

 ミステリマガジンの1999年10月号(No523)もあった。この号は、永遠のシャーロック・ホームズ特集が載っているが、何よりも他ならぬ昨年の神戸仏滅会に出席した切り絵画家の成田一徹さんが描くライヘンバッハ滝頭でのホームズとモリアティ教授の格闘シーンが掲載されている。その絵はWEJ424号に転載されているが、会員500円をつけて落札した。

 別冊奇想天外3号という1977年発行の雑誌はSFパロディを2編収録しており、当時の定価は1000円であった。これはレアな本なので今なお定価と同額の評価を得ているものである。これは定価とおりで落札された。

 同じく1987年発行の『13人目の名探偵』は、定価は500円であるが、1800円の参考価がついた。これも目利きの会員によって参考価どおりで落札された。1982年発行の『ホームズ隠退後の事件 蜜の味』も当時の定価は260円であるが参考価は600円、621円でやはり目利きの会員が落札した。

 シャーロキアンなら付けたい値段が221円、さすがに今回の紙上オークションでも1998年発行の『コナン・ドイルの心霊ミステリー』(定価680円)が、参考価100円で出品されたが、これに221円の値がついた。落札者も楽しんで入札したことであろう。

 支部として頭をひねったのが初期の『ベーカー街通信』である。中嶋さんからは市販のホームズ本以外に1〜78号のファイル(37号欠)と80〜150号のファイル(81号欠)が提供された。これにいくらの値をつけるかである。ほぼそろっているのでなかなか今日では得難いものである。そこで4000円と2500円を参考価としたが、残念ながら応札者がなかった。そこでこれは関西支部に備え付け、会員からの希望があればレファレンス・サービスに応じることとした。

 中嶋さんのご厚意は各シャーロキアンの蔵書を潤した。ことにその値打ちの分かる人の手に移ったことは喜ばしい。全体として新品同様の美本が多かった。

戻る

inserted by FC2 system