8月の話題

嵐の中で第211回仏滅会開く

 8月の仏滅会は、例年月初めに開かれることが多かったが、本年は会場予約の都合で10日(土)となった。お盆が近いので、会員の都合が懸念されたが、それよりも、台風11号の直撃という予期せぬ事態に見舞われ、嵐の中の仏滅会となった。

 この日のプログラムは最近にない充実したものが計画されていた。8月仏滅会は、7月7日付のWEJ440号で予告されていたが、一旦予告されると、数日前に台風が来ることがわかっても変更を通知する方法はない。担当幹事の藍見明石さん、副幹事をつとめる福島賛さんとも、たとえ参加者が来ないから中止するとしても、一応会場には向かわなければならない。幸いにして会場の茨木市は雨も風もさほどの事はなく、利用する会館も通常どおり開館。

 当日のプログラムの目玉は3つあった。1つはおそらく世界で初めてのワトソン博士誕生祝い。2つは名古屋からお招きした後藤清作先生による「緑なす快き南英」と題する講演、3つ目は関西支部会員で京都大学推理小説研究会出身の新進作家森川智喜さんの「本格ミステリ大賞受賞祝い」である。この内容に惹かれたのか、電車が停まって参加できなかったものが続出する中で嵐にかかわらず11人の熱心な会員が参集した。

 先ずワトソン博士の誕生祝い。ワトソンの誕生日はベアリング=グールドによれば、8月7日とされているが、至近の10日にお祝いをすることになったものである。最初に眞下庄作さんからワトソンの略歴が解説された。続いて、見吉時枝さん作成のワトソンクイズが行われ、福島賛さんが最高得点を得た。続いて豪華なバースデーケーキが披露され福島さんがケーキの入刀。発案者の見吉さんによれば、ケーキは注文済みであったので、もし台風で仏滅会が中止になれば一人で食べなければならないところだったと胸をなでおろしていた。台風のご利益として出席者が半分になったため、一人当たりのケーキが倍に大きくなったという次第である。

 続いて後藤先生の講演が行われた。新幹線の切符をすでに買っておられたからと嵐の中を名古屋からお越しいただき、一同感謝のほかなかった。内容は18世紀末ころからの産業革命の反動として、ホームズの頃には人々に自然の美しさを再認識させたこと、ホームズは引退後自然豊かなサセックスに転居したのもこれにつながっていると見るものである。緑と自然豊かな南英がいろいろと紹介された。

 最後が森川さんの「本格ミステリ大賞」の受賞祝い。お仲間の会員の一人の名誉ある受賞を祝うものである。渡辺利枝子さんが、森川さんの各作品を詠んだ感想を述べた受賞祝いの言葉が席上披露された。これは台風のため欠席したため、これも台風の中を東京から出席された新野英男さんのスマホに送って来られたものである。平賀三郎さんと見吉さんからお祝いの品も贈呈された。

 仏滅会の終了時刻になると幹事・副幹事の熱意・執念か、遠方から嵐の中を出席した会員の功徳か、嵐も上がり、予約した地鶏料理店で、新進作家森川さんを囲んでの夕食会を予定通り開けた。

 仏滅会発足以来初の嵐の中での仏滅会も無事終了できた。台風一過、帰り道は傘もささなくてよくなっていた。

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