5月の話題

   新緑の軽井沢で追分フォーラム開く

 第25回の追分フォーラムが5月3日〜4日に軽井沢追分で開かれた。5月4日といえば、日本では「みどりの日」であるが、シャーロキアンにとっては《最後の事件》でホームズとモリアティ教授が取っ組み合いをしてライヘンバッハの滝壺に沈んだ「命日」である。もっとも、《空家の冒険》を読むとホームズは実は滝におちておらず、モリアティ教授のみの命日ということになるが、欧米おホームズ研究家によれば、ホームズも滝壺に沈んだのであって、《最後の事件》までのホームズと《空家の冒険》以後のホームズは性格が変わっており、替え玉に違いないとの説があり、この説によれば、やはり5月4日は「命日」ということになる。

 その「命日」に因んで5月4日に毎年開催されるのが追分フォーラム、スタートは追分にホームズの記念物を設けることを、最初に活字にした松下了平さん、ホームズ像建立の中心となった小林司さんと平賀三郎さんの相談で始まった。

 松下さんは、『熟考シャーロック・ホームズ』に「ホームズ庵」という一文を寄せ「ホームズ庵のあたりこそホームズの記念碑を建てるのにふさわしい唯一の場所ではあるまいか」と記した。これを受けて小林司さんが音頭を取り、クラブ内に反対者もあったため、世界初ではなくスイスに抜かれて2番目の「等身大のホームズ像」となったが、「記念碑」はホームズ像の形で実現したものである。

 ホームズ像建立後、「年に一度はホームズ像の前にあつまって研究会を開こう」との気運が生れ、実現したものである。「追分フォーラムの名称は翠川こかげの命名である。

 追分フォーラムの特色の一つは「持寄り研究会」であることである。参加者が、研究発表をするか、会場の手配や設営を行うか、司会進行などの運営を担当するか、地元との交流をはかるか、何か一人一役を引受けるて運営されることである。最近は、地元のFM放送局に出演してホームズの解説やフォーラムのPRをする役目も加わっている。

 本年は校長役が鈴木利男さん、教頭役が見吉時枝さん、その校長、教頭と平賀三郎さんがFM軽井沢局に20分出演しトークした。

 JSHCの行事として、軽井沢セミナーも軽井沢で行われるが、こちらは会員のみによる内部の研究会で、場所もホームズ像から遠い千ヶ滝で行われる。これに対して追分フォーラムは、ホームズ像から徒歩5分の中山道旧追分宿で開かれ、地元にもいろいろお世話になっているところから、地域に開放している。

 本年も五月晴れの軽井沢でホームズ像が静かに佇んでおられた。

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