6月の話題

ミュージカル『シャーロック・ホームズ2』観劇レポート

渡邉利枝子

 この4月から5月と東京、福岡、兵庫とミュージカル『シャーロック・ホームズ』の第二弾『ブラッディゲーム』が上演された。筆者は5月9日東京芸術劇場と5月23日兵庫県立芸術劇場の2回の公演を観劇したのでここに報告する。
 韓国作のミュージカルを日本語化している。前作の好評に答えて早速二作目も日本公演となった。主役のホームズ橋本さとし、女ワトスン一路真輝、レストレード警部コング桑田の三人は続投だ。
 前作と同様、冒頭にワトスンの歌に合わせ、事件の概要が演じられる。今作は前作より役者が多い。切り裂きジャック五件の殺人は、ワトスンの歌に社会の底辺の男女らが踊り、一人ずつ殺されていく。群舞のダンサーにとってまたとない見せ場である。不自然な姿態でゆっくりと倒れしばらく目を見開いたまま動かない。今回もあっという間にお芝居の世界に引き込まれた。冒頭はワトスンが歌いまくりで大変だが、後半は謎解き場面でホームズが犯行の再現をおこない、すごい迫力である。お二人共さぞかし大変だろうと思う。また原作ファンだけにわかる小ネタがふんだんに入っているのもうれしいところ。たとえば、今回はグルーズの絵が飾られていたり、「耳の形で血縁がわかる」とのホームズのセリフなどがあった。
 五件の殺人のあとにも猟奇殺人は続き、切り裂きジャックは誰なのか?神の奇跡を呼ぶ盲目の少女マリアと幼なじみの青年との関係は?DVD発売も予定されているので、ここから先の展開は伏せておこう。。
 前回と同様にツッコミどころはいろいろあるが、別所哲也さんの名演と秋元才加さんがとてもよくなっていたので、西宮では涙を何度かぬぐってしまった。ちなみにダブルキャストは、小西遼生さんが容姿もステキだしラブストーリー的にもいいと思う。第一作目DVDはAmazonで扱いがある。
 第一作のラストシーンはワトスンが「切り裂きジャック!」と叫ぶのだが、今回は「アルセーヌ・ルパン!」だった。三作目もあるだろう。次回はお見逃しのなきよう。

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