8月の話題

火山のない英国

 日本列島の地下は、活動期に入ったと考えられている。元々がユーラシア大陸の東側にくっついていた地層が、何等かの理由で分離し、その間に日本海が生まれて拡大し、現在の位置にまるでさまよっているような島が日本列島である。南からフィリピン海プレート、東からは太平洋プレートが押し寄せてきて、地上では気づかないぐらいの遅い速度ではあるが押し合いへし合いしている上に我々は住んいる。どうしても地下の岩盤が壊れたり、マグマがたまって、地震が発生したり、火山が噴出する場所にあたっているようだ。阪神や東日本の地震は記憶に新しいし、口永良部島や西ノ島では現在大噴火が続いており、桜島や阿蘇山は活発な噴煙を上げ続けている。火口周辺規制がかかっている火山も、浅間、箱根、御岳など両指で数えるくらい活動している。富士山も不気味な沈黙を保っているが、ホームズならずともひとたび噴火すると大災害に見舞われる首都を離れ、安全な海の見える田舎に転居したい気分になる。

 それに比べ、英国には火山はないし、地震もめったに発生しない。事件簿に「おい! ワトソン君、なんだか揺れているようだ。地震じゃないかね」といった会話はない。ホームズ先生はなんでも洞察しているようで、火山の知識も地震の知識も皆無に等しいに違いない。もちろんワトソンも火山などはよく知らないであろうから《緋色の研究》でホームズと対面・同居した時に書き留めたホームズの特性の中に、火山の知識や地震の知識を問う項目など思いつかなかったことだろう。

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