平成29年7月の話題

                                               

ホームズ130年、設立35年を経た関西支部

 

《緋色の研究》が1887年12月に『ビートンのクリスマス年鑑』に発表されて本年は130周年を迎える。1982年12月に第1回の仏滅会が開催されて昨年で関西支部は35周年。本年は特別の記念行事は予定されていないが、昨年度に一段とレベルアップされた会を維持しつつ、会員の充実した文化活動と親睦が続けられている。

 本年もはや半年を経過、毎月のWEJの紙面から世界的にも高水準な活動を振り返ってみよう。

 

 1月号(471号)には、関西支部35周年記念の第229回仏滅会の模様が報道されている。会場が重要文化財の大阪府立中之島図書館、35周年記念品として特製ホームズトランプが配られたこと、35周年を記念して行われた正典のベスト5とワースト5のアンケートが福島賛さんから報告されたこと、発表は元大阪弁護士会副会長の会員大川一夫さんによる「シャーロック・ホームズと叙述トリック」と奈良大学名誉教授の中尾真理さんによる「ジェイムズ・モーティマー医師の謎」のハイレベルな発表が行われたこと、館内食堂で懇親会が開かれたことを再認識した。また、4月から毎日文化センターでホームズ講座「名探偵ホームズの世界」が平賀三郎さんが講師となって開かれることも報告されている。ことに昨年の第221回仏滅会記念のジョッキに続く本年の記念トランプは二つとも他に例を見ないオリジナル品であった。

 

 2月号(472号)では、関西支部の名称として「関西ホームズ協会」を使っても良いことになったこと、会員太田隆さんが昨年11月に『 科学世界のシャーロック・ホームズ』を発行しことを伝えている。

 

3月号(473号)では、2017年度の関西支部会員証が出来たこと、平成28年度の決算報告、会員の指昭博さんが神戸市外大学長に就任されること等を伝えている。決算報告では、昨年度は9回の例会(うち2回は記念仏滅会)を開いたため仏滅会収支の決算額が、100万円を超えている。2月例会の報告では、発表は新進気鋭の山原翔太さんの卒業研究をベースにした「シャーロック・ホームズと馬車」と、甲南大学の中島俊郎教授による「ホームズとビートン夫人」で、ビートンの家庭年鑑を持参された。『ビートンのクリスマス年鑑にホームズが発表されて130年にふさわしい発表であった。

 

 4月号(474号)ではWEJが5000ページに達したことを伝えている。これは東京の事務局が発行する「ベイカー通信」の発行部数をはるかに凌ぎ、会員制の文化団体ではあまり例を見ない実績だと思われる。

 

5月号(475号)では、会員増田匡裕さんが和歌山県立医科大学教授に就任すると伝えている。これで関西支部では、会員中に大学学長1名、大学教授3名、大学名誉教授・元教授3名、大学准教授・講師、高校教頭・教員を加えると15名を超え、かつこれら有識者が他の会員と共にホームズの世界を楽しみ趣味と親善を全うしているところに大きな特長を持っていることが分かる。また6月の関西例会仏滅会の会場は、1870年に神戸居留地で結成された外人クラブで開かれることを伝えている。ホームズの母国英国関係の会場で開催したことは意義が深い。4月仏滅会の報告によると、発表は福島賛さんの「六つのナポレオンにまつわる六つの難題」と、中尾さんによる「カレー料理とキュラソ―・コーヒー(料理から見るイギリス海外領土)」の2編がおこなわれた。

 

6月号(476号)は、会員望月麻衣さんが『京都寺町三条のホームズ』シリーズの第6.5巻と7巻の2冊を4月16日に出版されたこと、平賀さんが甲南大学文学部の授業「ブリティッシュ・スタディーズ」で、「ホームズ」について講義をしたこと、8月仏滅会は、やはり文化財の「中央電気倶楽部」で開かれることを伝えている。追分フォーラムの報告もなされ、仏滅会に負けない充実した発表が6編行われまた晩餐会などで親睦を深めたとある。

 

 7月号(477号)では、会員大川さんが初のホームズの本『ホームズ! また謎はあるのか』を出版したこと、会員中尾さんがオースティン専門の学術書に1編を寄せていること、同じく中島さんが、英文学者寿岳文章氏の旧宅保存のNPO法人設立を目指していること、元最高裁判所判事である会員園部逸夫さん(園田逸夫と誤記した紙面もあり)が皇室法専門家として今回の天皇陛下の退位問題に意見を述べておられることなどを伝えている。関西支部は多様性を持つ。

 以上のように特定の記念行事は行ってはいないが、上期の関西支部は趣味の文化団体としての会則にあるホームズ研究と会員の親睦の日をあげ、充実した活動が続いている。

 

 

 

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