平成29年8月の話題

                                               

7月から猛暑が続く毎日で

 

地球温暖化で、ホームズの頃よりも確実に冬の氷が融け、夏の気温は高くなった。スイス・マイリンゲン周辺の山の氷河も確実に融けており、長さは短くなり、氷の厚さも薄くなった。

 マイリンゲンからライヘンバッハの滝の奥に進んで峠を越えると、グリンデルワルドの村に出る。アイガー、メンヒ、ユングフラウの有名な夏でも氷雪に覆われた名山が並ぶが、グリンデルワルドの村に、ホームズの頃には上氷河、下氷河とよぶ二本の大氷河があった。しかし村に近い下氷河はほとんど融けてしまって、今は村からも下氷河の谷に入っても氷河は山頂付近にわずか残るのみである。少し上流に上氷河があり、流末が村に迫り壮観であったが、今は氷も薄くなり、流末も谷の奥に後退してしまった。

 有名な氷河急行に乗っても、夏には車窓から氷河を見ることは困難になった。海が一年中氷結し船舶の故航行が夏でも困難であった北極海も氷が融け、日本とヨーロッパを結ぶ船便にとって南のマレーシアやインド洋を航行するよりも距離も日数も短く、航路開設の検討も行なわれていると聞く。

 明治の初期の東京に赴任したカナダ生まれの宣教師ショーにとって、気温も高く湿度も高い東京の暑さは耐え難かったことであろう。路上に打ち水をして浴衣のもろ肌を脱いで外の床几で涼んだ日本人の真似もできまい。

 そこで軽井沢の事を聞きつけ、別荘第1号を建てて夏の間軽井沢の林間で過ごした。今でも旧軽井沢銀座と呼ばれる商店街を抜けて碓氷峠に向う林の中に旧宅ショーハウスと教会が保存されている。面白いのは、軽井沢に別荘を構えたショー氏を顕彰する石碑が、半分は横文字の英文で、半分は縦文字の漢文で書かれ、教会の前に建てられている。

 本年は東京や大阪で35℃以上まで気温が上がった日も、軽井沢では10℃は低い数値をしめしていた。クーラーを付けている個人宅はほとんどない。窓を開くとそよ風が吹き通り、爽やかである。

教会の前を奥に進むと徒歩で20〜30分の林間の散歩で碓氷峠に登る。軽井沢に碓氷峠は3か所ある。ショーハウスから登った所が江戸時代に開かれた中山道の旧碓氷峠、軽井沢の東1キロばかりの所にあるのが国道18号線の新碓氷峠、その南5〜6キロばかりの国道18号線碓氷バイパスにある峠が現在は入山峠と呼ばれる旧東山道時代の碓氷峠である。

 ホームズのセミナーの前後に、軽井沢を散策するのも良い。最近の旅行ガイドには、広告料を出した店、広告を見て行列のできる店が賑わうが、古き良き軽井沢は捨て難い。

 

 

 

 

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