9月の話題

『ホームズなんでも事典』9月23日に発行

 昨年に、日本シャーロック・ホームズクラブでの最新の研究成果に基づいて書かれた101項目を網羅した『ホームズまるわかり事典』が発行されているが、好評に応えその第2弾である『ホームズなんでも事典』が9月23日に発行された。

 前回の『ホームズまるわかり事典』の表紙は緑色であったが、今回は赤色、関西支部のロゴマークであるホームズの横顔がデザインされた続刊らしく同じ意匠である。「事件簿と事件簿を照合して矛盾を解明し、事件簿当時のイギリスの歴史・地理・文化・社会状況に合致しているかどうかを検証して既存のホームズ学のミスも正した103項目を解説する」とあるが、まさにホームズ学の本流をゆく研究に基づくもので、前書より2項目多い103項目が採録されている。

 執筆者は「8月の話題」にあるとおり編著者を含めて19名、ほとんどは追分フォーラムや関西支部仏滅会で発表したシャーロキアンが中心で、現職の大学教授と教授経験者が3名参加している充実ぶりが注目される。

 今回の冒頭は「青いガーネット」、JSHCでも過去に「ガーネットは赤い宝石で青くガーネットなどあり得ない」と批判する意見と「赤いガーネットが青いから珍しいんだ」と擁護する意見があったが、最近の鉱物学者の説によれば、青いガーネットも存在し得るとのこと、この新しい研究に基づいた新しい内容である。

 二項めは「アビ・ハウス」、シャーロキアンの聖地のひとつであったロンドン・ベーカー街221番地にあったこの建物の歴史などを解説し、有名なホームズの横顔を描いたプレートが取り外されてしまった顛末を述べている。これも最新の情報が織り込まれている。

 三項めは「アヘン窟のミステリー」、《唇の捩れた男》のいくつかの疑問点を分析し、「ミステリーの裏にもう一つのミステリーがありそうな事件である」と結んでいる。

 以下「アメリカ出身の美女の事件」これは、事件後にアメリカ出身の美女が登場すると何かしら事件が発生し騒がしい、と論じている。次に「歩く権利」これは、フットパスを透かして《バスカヴィル家の犬》を文学的に考察する。その次は「イーストボーン」と続く。102項は「ワトスンによるホームズ研究」最終の103項は「ワトスンの結婚」で終わっている。

 第1弾同様に、今回もイラスト、地図、写真が多用され、「読む事典」としての理解を助けている。その他「教育者ホームズ」「コナン=ドイルとルイス・キャロル」「発達障害」「福来友吉とコナン=ドイル」「モリアティが研究した二項定理」など従来はあまり論じられていなかったテーマもかなり取り上げられている。

 A5版 263ページ 定価2000円+税

 なお、出版記念会が、仏滅会の二次会として10月16日(土)に大阪市の中央電気倶楽部で開かれる。(「次回仏滅会のご案内」参照)

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